意志と存在のジャンケン
ストーリー
- 背景
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生物の進化の過程でサルの人間化に続き、
鶏・蛇・トカゲ・台風・桜・言葉
がそれぞれ、
不死鳥・悪魔・ドラゴン・テンペスト・ユグドラシル・天使
となり知性の獲得に成功する。
- 不死鳥
- 鶏の進化形。フェニックス。 一定量の血液が流出して空気に触れると組織化を始め、 温度や酸素量にもよるが30分程度で幼生になる。 血液の量が十分に多ければ複数の幼生が生まれる。 250歳頃まで成長して最も血液量が多くなった時に、 クチバシで自らの心臓を食い破って 100人以上の幼生を残すことで繁殖する。 組織化の時の遺伝子の変動が激しいため、 幼生は奇形児が多く生まれ、生き残れる個体は少ない。 繁殖可能な大きさまで成長できる個体は2〜3人程度と言われている。 性器や性別は持たず、容貌は極めて醜い。 思考は内省的で、世界の成り立ちや自己の存在理由などに興味を持つが、 自分の中で完結しているため、 それを他人に話すことは全くと言っていいほど無い。 自ら心臓を食い破って繁殖するために ”死”を結論するように、 遺伝子レベルで思考の流れが決定づけられているという噂があるが、 信憑性は低い。 それを揶揄して”死鳥”と呼ばれることもある。
- 悪魔
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蛇の進化形。蛇の胴体に大きな目玉と小さな足を持った奇妙な容貌を持つ。
目玉の数は個体ごとに異なるが、だいたい平均して3〜5個。
数は少なく生命力は人間以上に低いが、思考は狡猾で、残酷。
頭脳が極端に発達していて、特殊な能力を持って生まれる者もいる。
- サトリ
- 他人の思考を読み、それと反することをわざと言ったりして嫌がらせをする。 また相手の思考を音読したり、 その中に嘘を混ぜたりして混乱させる。
- ナイトハンドラ
- サトリの変種。 他人を支配して、自分を守るナイトに仕立てあげる。 支配するのは人間でもドラゴンも可能だが、 戦闘力が高い割には頭が悪いテンペストを好んで支配する。 だが天使は苦手。 支配に関しては天使の方が長じている。まさに天敵。
- フェイク
- 姿を変えて、他の種族に擬態する。 下手に喋ってその性格を露呈しなければ、 完璧に騙せる。
- ドラゴン
- トカゲの進化形。巨大。炎を吐く。つよい。 寿命が長く、繁殖のタームは長い(500年ぐらい)し出産数も少ないが、 生命力は非常に高く、ほぼ確実に成人する。じわじわ増えている。 思考はプライドが高く、 ”いかに勝つか、いかに大きな存在になり、高みに上るか”を第一信条とする。 哲学でフェニックスに、知恵比べで悪魔に、 戦闘力でテンペストに、スロートークでユグドラシルに、 道徳論議で天使に、道具や芸術の創出で人間に、 それらの総合的な戦歴で同族に、勝負を挑む。
- テンペスト
- 台風を形成していた空気のエネルギーの奔流が、 全くの偶然で自己維持システムに変化したもの。 外部の熱や運動エネルギーを食する。 思考は単純で、暴力的。 分裂や成長は極めて早いが、衰退も速く不安定な生態を持つ。
- ユグドラシル
- 桜の進化形。世界中に根を張っていて 各地で枝別れした者に出会えるが、本質的には一人。 思考は酷く緩慢で、コミュニケーションをとるには かなりの忍耐が必要。
- 天使
- 悪魔やドラゴン、人間が用いる共通語そのものが意志を持ち、 それらの脳を住処として進化・繁殖等の生物的な能力を得たもの。 宿主の会話によって脳から脳へと渡り歩き、 自らが主張する道徳を流布する。 容貌は非常に美しく、宿主の視覚神経に干渉することで 像を結べるが、物理的な実体は無い。 ちなみに人間から見た天使は人間に酷似している場合が多い。
- 人間
- サルの進化形。 所持品や領地など”自分”を広げる習性があり、 物体を加工して道具とし、自らの手足の如く自在に扱う。 思考や言葉を図形・文字・符号などで 物質に刻印することを発明したのも彼ら。 また刻印以外にも思考や感情を他の何かに 当てはめて対象化する。 しかしその精度はあまり高くなく、 ”自分が何を考えているか、何を感じているか”を誤認することが多い。
- 聖戦とその後
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最も弱く最も知能が高く、そして最も悪意に満ちた一匹の悪魔 『魔王アインシュタイン』が不可能と言われた 天使達のナイトハンドリングに成功する。 そしてアインシュタインの悪意に従って天使達は ”正義の名の元の戦い”を唱えるようになり、 人間と悪魔は異種族を滅ぼすべく、戦争を開始する。 支配されなかったドラゴンやテンペストもそれに嬉々として応戦し、 不死鳥は人里離れた山に非難し、 ユグドラシルは木なので何もせずただ生えていた。
戦いは、どういう訳か人間の勝利に終わった。 悪魔、ドラゴン、テンペストは戦いに敗北してほとんど滅び、 山に逃げた不死鳥もすべて狩られた。 何もしなかったユグドラシルはそのまま残り、 天使達は人間の脳で生き残った。 悪魔からナイトハンドルの技術を盗んだ人間は、 ドラゴンやテンペストの生き残りも支配して飼い慣らした。 その他にも、異種族からいろんな能力を奪った。
敵を失った人間達は、今度は自分達同士で争うようになる。 人間は”国”という単位で自分達を分割し、争い、 いくつもの国が滅びたり新しく生まれたりを繰返した。
ここに『魔女ローレライ』なる女性が歴史に名を出す。 ローレライは全ての能力を併せ持っていた。 不死鳥の完成された哲学を持ちながら自殺せず、 すべての事象をナイトハンドリングし、 ドラゴンのように気高く、 強大なテンペストを自在に制御し、 なぜかアインシュタインの”聖戦思想”に 毒される前の天使の平和的なモラルを持ち、 そしてユグドラシルと同じ永続的生命力を持っていた。 千年の長い戦いの後、 ローレライは白騎士ホネストと黒騎士マフィスを従えて、 魔王に冒された天使達をすべて駆逐し、 世界に平穏を取り戻した。
すでに世界を支配した魔女は、 今度は世界を如何に制御するかを考えるようになる。
- 主人公の旅
- 主人公ハヤトはコロシアムで戦う奴隷戦士。 大会で優勝し、報奨として釈放の恩赦を受ける。 突然に与えられた自由。旅がはじまる。 やがてハヤトは魔女の住む塔を目指すようになる。 理由は不明。 行く手を阻む敵を片っ端から退け、ただひたすら塔を目指す。
キャラクター

- ハヤト。元奴隷戦士。コロシアムで優勝し、突然の自由を与えられた。 主人公。絶望に呑まれず、希望にすがらず、ただ沈黙して敵を見据える者。

- ソフィア=パッヘルベル。主人公の知り合い。病気で死にそう。

- ローレライ。世界を支配した魔女。万能。 ただ支配するだけでは満足せず、 ”いかに制御するか”という命題を自らに課している。

- ホネスト。ローレライにハンドルされし白騎士。聖剣を使う。 誠実な性格。

- マフィス。ローレライにハンドルされし黒騎士。魔剣を使う。 攻撃的な性格。

- エミレダ。 ――― 激情に泣き叫ぶ人間は死ねばいい。 愛に包まれなきゃ生きていけない人間は死ねばいい。 力を誇示して他人を踏みつけたがる人間も死ねばいい。 激情も、愛も、力も、ただ求めればいいのではない。 自らの精神がそれらに振り回されないように、 しっかりと制御しなければならない。 ”テンペストエンジン”……感情のうねりを嵐に変えて放射する力。 生まれたときからわたしは、この”テンペストエンジン”と共に生きてきた。 何かの弾みで漏出してしまうことはある。 でも、怒れる時も、悲しい時も、わたしはこれを押え込んで見せた。 大丈夫、うまくいってる。 誰も傷つけてないし、自分を見失うこともない。 厄介な荷物だなんて思わない。 わたしはこの”テンペストエンジン”の宿主であることを、 胸を張って誇れるような人生を送ってみせる。

- サトリ。相手の心を音読する。

- サキ。”後出し”の使い手。