死海の聖者
遊び方は『ソロプレイ用ルール』を参照してください。
静かなはじまり
そしてあなたもまた戦士として目覚めた。何も思い出せない。が、かつての記憶は……無くて当然であると、ごく自然に理解する。戦士は呼吸する剣そのものだ。その役割は敵を打ち倒すことであって、考えることではない。考える必要が無いのだから、記憶もいらない。あなたはそう考えた。手を伸ばせば届いてしまいそうな空だけを見たまま。
空しか見えない。それはあなたが仰向けに倒れていたからだった。顔を動かすと、目の前にさらさらとした白い砂があった。砂は目の前のみならず遠く遠くまで、少しの起伏も無く広がっている。波の音がする。ここは砂浜だと知れた。
あなたの胸を、何らかの感情が満たしている。それは寂しさに似ていた。でも違う。何だかよく分からない。その自分の感情を、より正確に分析するようなことをあなたはしない。そういった内省は、あなたには、不要で、ある、はず、だ。
「起きたんなら起きなさいよ」
声だけが降って来た。あなたは特に考えず、調子の悪い体を無理矢理起こし、後ろを振り返る。そこにいたのは女だった。女っぽい顔と髪。女っぽい服を着て、砂浜の上に女座りをしている。何というか、あなたは、それ以上の細かい観察ができない。不要な機能はすべて削りとられているのだろう。誰に? 考える必要は無い。
女はあなたのことを指差してきた。
「バーカ」
馬鹿にされても、腹は立たなかった。間違ったことは言われていないように思えるからか。むしろこの女には親近感を感じる。だがしかし、「寂しさに似ている何か」は依然変わりなくあなたの胸を占めている。あなたはやはり、寂しいわけではないのだ。
女は立ち上がり、持っていた棒で砂の上をぞりぞりとなぞった。なにかを描いている。
「ねえ、どうしてそんな目でわたしを見るの。不愉快だわ。まあいいや、あなたも無事に始動してくれたみたいだし? わたしは消えるね。ばーい」
女が描いたのは魔法陣だった。あなたは知識ではなく本能で、それが逆召喚の陣なのだと悟る。女がその上に足を踏み入れると、蟻地獄のように砂に呑まれて消えた。魔法陣も崩れて消えた。
一人になったと思ったら、後ろから声をかけられた。
「おい、なんだお前」
あなたは振り返る。そこに男がいた。男っぽい感じがする。その男っぽい感じの男は、体に様々な武器を装備していた。武器は戦うための道具である……それを思い出して、あなたは自分の心が安定するのを感じる。あなたは寂しかったのではない。敵に飢えていたのだ! あなたは男に襲いかかるべく、砂をを蹴って駆け出す。男は鼻を鳴らす。そしてすらりと抜刀してきた。
「召喚士の女を殺しにきたのに……いたのはケチなゴロツキかよ」
あなた:HP15、先手(○) 戦士エハド:HP15、後手(×) 制限ターン:11 2>Aを1−1に置く 4>Bを1−2に置く 6>Cを1−3に置く 8>Bを2−2に移動させる 10>Cを3−3に移動させる
エハドに勝ったら、あなたは次なる敵を求めて砂浜を歩く。
求めるこころ
砂浜を歩くにあたって、あなたは何も考えない。海にまっすぐ向かって行けば溺れて死ぬので、海を左手に、海岸線に対して平行に歩くだけだ。波の音とか風の音とか、そういったものがなんとなく鳴り響いている。音に意味は無い。ただ空疎なだけだ。少しつらい。歩くこと自体はどうということでもないのだが、何も起こらないのがつらい。退屈だ。敵はまだか。
敵はまだか、とあなたが何度も何度もしつこく思った後、敵が現れた。槍を持った男だった。彼は半裸で奇声を上げながら、海岸沿いを向こうから走ってきていた。敵を探していたのであろうから、あなたと大して変わらないタイプの人間なのだろう。あなたは幸福な出会いに感謝する。
あなた:HP15、先手(○) 蛮族サイダール:HP20、後手(×) 制限ターン:11 2>Aを1−1に置く 4>Bを2−2に置く 6>Cを3−3に置く 8>Bを2−1に移動させる 10>Bを3−2に移動させる
サイダールに勝ったら、あなたは次なる敵を求めて砂浜を歩く。
小さいあなた
あなたは間もなく、次なる敵を発見する。それは目の前にいた。巨人だ。あまりに大きすぎてその大きさを説明できない。強いて言うならば右足の厚さがあなたの背丈と同じくらいだった。巨人は遠くを見ている。
あなたは強大な敵との遭遇を喜んだが、巨人にとってあなたは小さすぎるようだった。巨人はあなたの存在に気づいていない。気づかずにあなたを踏み潰そうとしている。あなたは焦った。踏んでくるのはいいが、気づいてくれ! ああ巨人よ!
あなた:HP15、先手(○) 巨人バム:HP40、後手(×) 制限ターン:17 2>Aを3−1に置く 4>Bを2−1に置く 6>Cを1−2に置く 8>Aを1−3に移動させる 10>Bを3−3に移動させる 12>Cを3−2に移動させる 14>Aを2−2に移動させる 16>Bを2−1に移動させる
バムに勝ったら、あなたは次なる敵を求めて砂浜を歩く。
敵はどこにいる
そしてまた別の男が現れた。彼はこれと言って説明するところの無い男だったが、あなたに語りかけてきた。
「おいおいよしてくれ、僕は敵じゃないよ」
なんだ敵じゃないのか。あなたはがっかりする。しかしその説明するところの無い男は、次のことを言う。
「僕は聖者だ。きみを導いてあげよう。きみは敵を探しているんだね? だったら喜びたまえ、きみの敵はもうすぐ現れるよ」
どうやら、あなたの敵はもうすぐ現れるようだ。あなたは喜んだ。
そして砂浜に魔法陣が自動的に描かれ、そこから湧き出すように何者かが現れた。現れたのは女だった。女っぽい顔と髪、女っぽいたたずまい。女はあなたを見て言った。
「また会ったわね。まだ、そんな目で見て……」
かつて会ったことがあったのだろうか。そうは思えない。あなたはこの女を思い出せない。聖者が叫んだ。
「そら、そいつがきみの敵だ! 倒すといい!」
「だめよ、その男の言うことに耳を貸しちゃだめ!」
二人は何だか別々のことを言っている。愛し合っているのだろうか。あなたはどちらかの言うことしか聞けないが、どちらの言うことを聞くべきかを判断するには、考えなくてはならない。だがあなたに考える力は無い。とりあえずあなたは、この敵っぽい女と戦うことにした。その方がいい。
あなた:HP20、後手(×) 召喚士カイナ:HP25、先手(○) 制限ターン:14 1>Aを1−2に置く 3>Bを2−1に置く 5>Cを3−3に置く 7>Bを3−1に移動させる 9>Aを1−1に移動させる 11>Bを3−2に移動させる 13>Bを2−3に移動させる
カイナは戦ってる途中で「なんと驚き、そこの聖者……こそが、真の、そして最後の敵なのよ!」と言う。
カイナに勝ったら、あなたは聖者の男に向き直る。
聖なるたたかい
戦おうとするあなたに、聖者は言う。
「馬鹿だな。きみはしょせん操られているのだ。僕の言うことを聞くといいよ。もっと考えたまえ。この死海は徐々に陸を浸食し、世界を狭くしている。きみを利用している愚かな神が、それを望んでいるのだよ。腐っている。僕とて僕のすべてが正しいと考えているわけではないさ。だが滅びを肯定した先にあるのは絶望だ。僕は何としてもそれを拒絶したいんだよ。僕の言っていることは正しいだろう? それは僕らの神が正しいからだ。信仰だけじゃない。本当に正しいかどうか、よく考えたんだよ。きみたちの立場にたったつもりで、僕らの正しい神の間違いを探したんだよ。でも僕らの神に間違いは無かった。だって正しいからね。この海は死んでいる。波が立っているように見えるが、それは風に吹かれているからだ。反射的に反応しているだけだな。自らの意志と思考を持っているわけではない。そんな腐った海が世界を覆うのを、見過ごす訳にもいくまい。僕が何を言っているか分かったかな。分かったよね。きみが刃を向けるべき相手は、僕ではないと分かったはずだ」
どうでもいい。
あなた:HP20、先手(○) 聖者ソマラクティ:HP50、後手(×) 制限ターン:21 2>Aを1−1に置く 4>Bを1−2に置く 6>Cを1−3に置く 8>Bを2−3に移動させる 10>Bを3−2に移動させる 12>Bを2−1に移動させる 14>Cを3−2に移動させる 16>Cを3−3に移動させる 18>Cを2−2に移動させる 20>Cを1−2に移動させる
ソマラクティに勝ったら、あなたは次なる敵を求めて砂浜を歩く。
カイナはソマラクティが最後の敵だと言ったが、あなたはまだ戦い足りない。もっと敵に会いたい。会えるだろうか。会えるといいね。
End.