新しいことをするのと良くするのは大抵同時にはできない。今回は「m100をベースにル
ールを洗練させる。新しいことはしない」というのが念頭にあったテーマだった。ここで
いう洗練とは、ルールの簡略化やバランス調整など、主に欠点潰しを意味する。
　ルールの簡略化はこんなものだろうといった所。遅延Nなどのルールをなくし、剣を完
全一字表記にするのは自分としては外せない一手だった。剣師の組み合わせ数は多少狭ま
るものの、視認性は良くなったしプログラムでも扱いやすくなったはず。今回は剣師の自
動生成器なんてものを作る人も増えていたが、完全一字表記によって作りやすくなったの
ではないかと予想している。マーガレットは最初からデジタル志向だった節があり、マー
ガレットが伸びたいように伸ばすことが出来たと思っている。ルール思案の第一感は理論
ではなくルールの声に耳を済ませることで得られるのだ。と、このように自分の思考の出
力に気持ち悪い擬人化を施し、あまつさえオカルトじみたその実存性を半ば信じてしまう
のもマーガレット界隈の特色である。いったい誰に似たのやら。ルール全体としてはm100
よりは簡略化になったものの、劇的にという訳にはいかなかった。「剣の処理手順」あた
りの複雑怪奇な説明はどうにかしたいと思っているが今のところ適切な案が無い。
　バランス調整は順風満帆だった。m100という叩き台もあったし、アドバイザーとしてTH
EKIさんの力を借りたのも功を奏してm2011αはかなりバランスの取れた環境になったと思
う。「ビルドが強力だがアンビルダーにも勝ち目はある」という構図も理想的だった。m2
011α・m2011共にトップがアンビルダーだったのも面白い。m2011ではみんなから募った
構成をビルディアとしたが、それらは強くなり過ぎたのだろうか。ここらはよく分かって
いない。

　回路チャットでm2011αの詰めマーガレット（「この剣師を途心10で倒せ」など）がい
くつか出ており、しかもかなり出来がよく面白かった。m2011の方がルールとしては決定
版のつもりだったが、こちらだと詰めマーガレットは作りづらいだろうか？
　処理系を用意したからだろう、プレイヤーみんなが「環境（剣師リスト）を育てる」と
いうことをしていたのも面白かった。「うちの環境は○○に偏っている」「○○という剣
師を作った、うちの環境では勝率90％越えだ」といった会話がTwitterの#m2011aタグや回
路チャットで飛び交っていた。

　環境という言葉には「ルール」「ローカルに抱えている剣師リスト」「メタ、流行」と
いった複数の意味がある。

　ルールをシンプルにするために、最初はMPすら排除しようとしていた。しかしMPなしだ
とビルドをうまくデザインできず、結局今回もMPは含めた。
　ほかボツ案：「盾の剣を強くする」「命の剣の高速起動」「重撃剣の遅延2または3化」
「導来剣を並べるだけで一つの剣に重ねがけられる」「後続剣、遅滞剣、限定剣の削除」
「胎胎剣の採用」「[流] 流星剣＜攻撃＞＜リミ＞：攻撃力−対象防御力ダメージを与え
る。与えたダメージの分だけターンを進める。（元ネタ：通りかかった公園で子供が「流
星ブレード！」と叫んでいた）」
　後続剣、遅滞剣、限定剣は削除しても良かったのかも知れない。今回は一応残した。詰
めマーガレット等で思わぬ用法があるかも知れないという思いもあった。
　昨今の環境では高速起動を許しすぎか。導来剣を含むいくつかの剣は通常起動の方がい
いのかも知れない。マーガレットの第0ターンは本来、ほかのゲームで言う第1ターンの言
い換えではなかったはずだ。

　2011αでmkothaさんが科学的に二位を獲ったのが印象深かった。「流行の変動をシミュ
レーションで占う」なんてことをやってのけて75％の勝率を叩き出したのだ。
　何人かが思考ログを公開してくれていた。ポーカーの手の内を後で晒してもらったよう
で面白かった。一方そのころ、あなたはこんな景色を見てこんなことを思っていたのか。
　キャラ作成において前の大会の設定を継ぐという選択肢がある。前の大会を知っている
と、その繋がりがあるキャラを見るのは嬉しい。人は時間の中で生きてるので歴史や因果
や物語を求めるのだと思う。

　しらす。

　蠱惑合戦には参加しなかったが自分の中で配点は考えていた。
　（1点）ミラーコート：さばさばしている。
　（1点）仙王寺　戯曲：スタイル並外れ。足長。
　（1点）ミラーコート：リラックス。
　（1点）白須　音子  ：しらす。
　（1点）ミラーコート：控えめにひょうきん。
　（1点）糸中 色子   ：やわらかかった。
　（1点）木俣 公子   ：高級感。エッセンシャル。
　（1点）ミラーコート：引きこもりの割にはうじうじしなさそう。安定感がある。
　（1点）ミラーコート：ダウトナ・フェノメノンとの類似性、その本質とは？
　（1点）ミラーコート：基本ビルディア任せ。
                       自分はふとんに潜ってたりするのだろうか。散護も良い。
　（1点）ミラーコート：そのビルディアすら押分狙いの消極性。
                       攻撃すら相手に任せている。
　（1点）ミラーコート：何をすることもなく鏡の結界で身を護る。
                       ゆえに、ミラーコート。
　（1点）ミラーコート：気のない瞳。覗き込んで見えるのは己だけ。
　（1点）ミラーコート：その魂の本質は諦念。悪いとも思わない。
                       永久に更新されない刹那主義。

　THEKIさんにはとても世話になった。大変感謝。
　supplyさんタイトル絵を描いてくれてありがとう。アリスの演説は我ながら無茶振りだ
ったと思う。