SPE憲章序章

迫害の時代を越えて、人は前に進めたのだろうか?
誰もが幸せに生きられる社会を、我々は築くことが出来ただろうか?

すべての人間が共有できる言葉は、とても少ない。
たとえ誰もが思慮深くあったとしても、通じ合えない中では獣としか振る舞えない。

彩り豊かな不理解で自分たちを分かつ群れの中にあって、
我々は誰にも理解されないちっぽけな<ひとり>だ。

誰も仲良くしなければ、多数派は生まれない。
誰もが仲良くできるなら、少数派は生まれない。

人が人を尊重するのは、我らを囲う<アンリミテッドサークル>を認めるからだ。
人が人を裁けるのは、利害を分かつ<リミテッドサークル>を認めるからだ。

我々はか弱い一人である以上、誰かを選ばなければならないのだ。
我々は同じ存在にはなれない以上、誰かを拒まなければならないのだ。



The enemy is Slogan

我々は<ひとり>でありながら、社会の一端を託された細切れの王たちだ。

いくつもの意見の噴出は、崩壊の始まりではなくより柔軟な集団形成の母胎としよう。
我々は王として、先人が遺した多大なる負債をこれぞ天命と引き受けようではないか。

既存世界に蔓延る通念は、有り合わせの材料で我々をこの岸辺まで送り届けてくれた筏だ。
よくぞ頑張ってくれました。わたしたちはきっと、もっと上手くやって見せるからね。

権利を要求するのもいいだろう。悪者を指差すのもいいだろう。
けれども衝動的な言葉のリピートに身を委ねる贅沢は、王に許されるものではない。

我々は常に、自らに突きつけることを忘れてはならない。

The enemy is Slogan



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[SPE]