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ステッパーズ・ストップ

そのほか

2013年


エリア・ミニマイズド


1 2 3 4 5がいました。
数値は生産力であり強さでもあります。
5は誰よりも強いので、逆らわないと殺すぞと脅して、1 2 3 4から搾取していました。
しかし、ナンバーツーである4は思いつきます。
おれたちが力を合わせれば、5よりも強いのでは? 1+2+3+4>5
そしたら、5から4人で搾取できるぞ。
いや待て。
よく考えたら1か2は要らないな。
1+3+4か2+3+4で過半戦力を確保できるのだから。
人数は少ないほうが取り分が多い。
3と相談した結果、1よりも2を被搾取側に置いた方が取り分が多くなるということで、1 3 4で組むことにしました。
しかし、1は難色を示しました。
1は生まれてこの方誰よりも弱かったので、強きが弱きを支配するシステム自体を軽蔑していたのです。
仕方なく、2 3 4が組むことになりました。
そして、1 5を支配し、旨い汁を吸います。
2は自分よりも下の存在がいることを励みに、嬉々として従いました。
2 3 4>1 5という二層構造が安定した上で、2 3 4という上流社会では、三者が睨みあって安定していました。
たとえば4が3と組んでさらに上位層に上って取り分を増やそうとすれば、2が1 5と結託して反逆する恐れがあったからです。
一方、1は苦役を共にしながら、かつて支配者だった5と話す機会を得ました。
本当の強さとは何か。
力か。
他者への影響力か。
それとも別の何かか。
そんな哲学問答を交えて5の精神的優位性を殺ぎつつ、被搾取生活から逃げ出す提案をしました。
折を見て、作戦を立てて、二人は同時に逆方向にダッシュしました。
危険な道と安全な道があったのですが、1は5に押される形で危険な方に行きました。
2 3 4はそれらを追いかけますが、二手に分かれることはしませんでした。
お互いを視界に入れていないと、どのような裏切りがあるかわからないからです。
安全に追うことができ、生産力も高い5を追って捕えました。
5はまた被搾取生活に舞い戻ってしまいました。
一方、1は危険な道を突き進みました。
2 3 4から追われることはなくなったのですが、危険なので足を滑らせて川に落ち、気絶して流されました。
気が付くと、1はベッドに寝ていました。
ランプの灯りが揺れています。
どこかの家の中でした。
「起きたか」
どうやら親切な人が助けてくれたようでした。
「ありがとうございます」
「礼はいいから寝てろ」
その人は無愛想にそう言いました。
「とっとと回復して消えろ。面倒かけやがってクソが」
「……あの。あなたはどなたなのでしょうか?」
「オレか。オレは……」
その人は逡巡の後、ぽつりと言いました。

「6だ」



「ふわーあ。変な夢を見たよ……」
たゆみは目を覚ました。

おしまい