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儀式剣1、黙祷剣、爆炎剣、爆炎剣、黙祷剣、導来剣0、黙祷剣
「アリス」
振り向くと、片平さんがいた。
「逃げようよ、もう何人も巻き添えを食らって発狂死したんだよ!」
試合の日の後のことだった。
数人の生徒が、おかしなことを叫びながら自殺したようだった。
無理もないとは思った。
明日おおよそ間違いなく勝てないと確信したことを除いても―――
遠く離れていたとはいえ、あの死技野さんを見たときの印象は。
「自分が餌になる」という感覚だった。
殺される、勝てない、ではなく、「餌になる」だ。
また数人の生徒はこの事態に対して、聖域からの脱走をした。
既に脱走をした生徒のうち、やはり何人かが自殺をしていたという
報告も受けていた。
試合後、たゆみ先生からはこっそりと忠告を受けていた。
「あなたが死んだあと私たちも無事かどうかわからない」
「試合を辞退することも私たちは受け入れる」
「ここで死んでも、あなたは蘇生できないかもしれない」
あれがカシュラミネーション、という現象だということも聞いた。
私は彼女の肩を両手で掴んだ。
「どうしても怖かったら、私の部屋にいていいよ」
片平さんは予想通りというか、何と言うか、きょとんとしてしまった。
「片平さんは言ってたよね。元気になってほしい、真っ直ぐな目で見てほしい、
『傍に居る』って」
(そばにいてほしいよ)と出かかった言葉を飲んで、
軽く頭を撫でたあと、片平さんをベッドに寝かせた。
随分うなされていたが、しばらく撫でてあげたら静かになった。
それからその晩、私は明日に向けたリリースバックと、
覚悟を決めていた。
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カシュラミネーションによる脅威を一身に受けながら、私は立っていた。
私は、私だ。それ以外の何者でもないし、全てでもない。
それが【愚者】という戦法であることを、私は知っていたが…
これで負けても、悔いはない。
「よろしく、お願いします!」
私は一振りの刀を鞘に納めると、構えを取った。
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黙祷剣、残響剣、星霜剣、黙祷剣、導来剣0、黙祷剣、先行剣、デス剣
「死技野……あの惨状で生きていたのか……!?」
二人の男子生徒は立ちつくす彼女に対して、動揺したような声をかけた。
「そう……偶然……助かったの……わたし、運が良かったのね……」
緋森の生徒たちが級友の奇跡の生還に湧く最中、一人の女生徒の顔色だけが違っていた。
弓野理解子だ。
(あれ……?あれ、あれ……?)
弓野の動悸が激しくなっていた。
(おかしいよ、ウブメちゃんってあんな口調じゃなかったよね……?)
歯を鳴らし、後ずさりし、舌の根がいつの間にか渇いていた。
(どうして……?どうして……!? ”あれ”はウブメちゃんじゃないの……!?)
定まらぬ視線で地面を眺める弓野の肩に、手が置かれる。
電流が流れたように前を見ると、そこには凍りつくような笑顔で彼女を見る”死技野姑獲女”がいた。
「ふふ、可愛らしい子。私の事を”理解”したみたいね……」
”死技野”は一言ささやくと、その場を離れた。
喧騒の中、弓野の眼前は真っ暗になっていた。
私は次に”あれ”と戦うのだ。
一ノ瀬屠殺彦
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