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1.6.aに更新しました。
1.6.9に更新しました。
エンディング1人追加しました 誰かな? 誰かな?
それでは、みなさんから送られてきたエンディングを掲載していきます。20名の方が送ってきてくれました。
残念でしたね、よどみ先生。
心のなかでつぶやいた。
利根川よどみが純粋独立地区出身であったことは私を少なからず動揺させた。
なにか先生と話せることがあったのではないか?
そう思ったがすぐに考えるのをやめた。私が先生に言えることなどなにもないのだ。
自分は先生には共感できない。だが先生が世にばらまいていった影響には興味があった。
失われた命。増加された不帯剣民への嫌悪感。
利根川よどみに接したことにより運命がねじまがったものたち。
彼女は今なにを思うのだろうか。
私は細川弑奈の事を考えていた。
クク
無
10/0/0/4
黙祷剣、黙祷剣、残響剣、星霜剣
あー頭痛い気持ち悪い。
なんか、記憶がないんだけど。準決勝の途中から。
気がついたらトーナメント終わってるし。
お父さんも「危機は去った」とかって言い残して帰っちゃうし。
わからなきもちわるい
たゆみ先生の途心も、スタンプ消えたらなくなっちゃったし。
力抜けちゃった。
もう修学旅行も終わっちゃうのか。
もうちょっとみんなと仲良くなりたかったな。
枕投げにも参加すればよかったなあ。
でも私ってば夜は10時間は寝ないとダメなんだよね。
次の行事は……体育祭? 文化祭? それとも、賭博祭だっけ?
とにかく、次こそもっと皆と仲良くなろうっと。
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以下、
奇人異聞譚 弟169巻
1080ページ 「ゆ」の段 第19章
より抜粋。
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「弓野理解子」
「わからないこと」が大好きで大嫌いな女の子。
彼女は世界初の生体人造人間である。
1.出生〜学生時代
彼女は「弓野見知子(ゆみの・みちこ)」という名の、科学者の母を持つ。
見知子の専門は量子生物学であった。
その目標は、量子力学的アプローチにより、生命の起源を探ることであった。
近年の研究により、「楽園」と呼ばれる大洋の火山島が、地球誕生時の環境に近いことがわかった。
そこにのみ生息する「コブシツルギネコ( 学名 feles pugnus gladius )」は、
眠らないが食べる、生殖しないが戦う、などの特異な生態を持つため、
生物と無生物の中間に位置するという説があった。
見知子は10年来の研究により、分子レベルに分解したコブシツルギネコの細胞に
ある種の放射線を当てると、その構造が復活するということを発見した。
研究は最新医療に応用され、蛋白質と無機質を数種選び、放射線に当てるだけで、
任意の細胞、任意の臓器を生み出すことができるようになった。
弓野見知子の成果、通称「CPS万能細胞」が一躍有名となったのは、
その無限の可能性をアピールするために彼女がおこなった、大胆なパフォーマンスによるところが大きい。
彼女はCPS万能細胞を用いて人工精子を作り出し、それを自らの卵子と人工授精したのだった。
出産は無事成功し、生まれてきた女の子は弓野理解子と名付けられた。
生殖をしないコブシツルギネコの、それとは他種である人間との子どもであった。
理解子を出産後、見知子は自らの権威と圧力でわが子を好奇の目から退け、
あらかじめ開発しておいた教育用人工知能プログラム「ShiRoKo」を用いて、
世界初の生体人造人間である理解子の教育に尽力、その成長記録を精緻に分析し研究した。
しかし、この研究は期待外れであった。わかったことはせいぜい、
「理解子の脳はシナプスがある種の活性を起こすときに脳内ホルモンが多量に分泌される」
「コブシツルギネコは存外に子どもを溺愛する親バカである」
程度であった。
しかし、見知子は母として失格することはなかった。
彼女はCPS万能細胞の研究を続けながらも、理解子へ愛を注ぐことを忘れなかった。
研究に没頭している間に淋しい想いをさせてしまうであろう問題は対処済みであった。
雷雨が恐ろしくうなり声を上げる夜、幼い理解子はShiRoKoの入った
小型ノートPCを抱いて眠りについたのだった。
結果、理解子はごく普通の、ちょっと頭のいい女子高生として成長した。
緋森高等学校に入学した理解子は、内向的な性格が災いし、友達が少なかった。
これには彼女が「理解不能な事象があると体調不良を起こす」という特異体質であったことも、
少なからず影響を与えていたことだろう。
彼女の人生のターニングポイントとなったのは、高校二年生の修学旅行であった。
ここで、かの有名な「聖域テロ事件」が発生した。
自身が師として尊敬していた数学教師「利根川たゆみ」がこの事件に巻き込まれ死亡し、
理解子は大きなショックを受けた。
絶望の中、彼女は利根川女史を越える数学者になろうと決意。
最高学府の数学科における研究、
「フィボナッチ数の同伴数列としてのリュカ数列における新性質と、その数学的帰納法による証明」
によって博士号を取得した。
これが後の量子生物方程式成立の礎となったことは言うまでもない。
まもる
かに
------
高校から、帰宅の路につく。
昨日までのことが、まるで、頭の中をふわふわと漂う雲のように、曖昧に感じられた。まだ、記憶の整理が出来ていないのかもしれないし、或いは頭の機能の一部が壊れてしまったのかもしれない。なんだかもやもやとした感情のまま歩いていたら、いつの間にか自宅の前に着いていた(危うく通り過ぎるところだった)。
玄関の鍵を開け、扉を開き、「ただいま」と呟く。
その声は、本当に発せられたのかどうかすら分からないほど微かに、消えた。
着替えもせず、ベッドに突っ伏して、泣いた。
何故涙が流れ出てくるのかは、よくわからなかった。
ひとしきり泣いた後寝てしまったようで、目が覚めたら窓の外はすっかり暗くなっていた。
ケータイを見たら、1件のメールが届いていて、そこには明日から一週間の謹慎処分の旨と、教師らの葬式の案内が書かれていた。
ケータイを閉じ、深く、深く、深呼吸をし、それから風呂へ向かった。
制服を脱ぎ、目いっぱい熱いシャワーを浴びて、漸く意識が覚醒してきたことを悟る。鏡の中を見ると、目はかなり充血していた。
------
狂った事件は終わりを告げた。
王立ネットワークはその支配を強め、緋森高校は連日ニュースで取り上げられ、世界の構造はまた少し歪になった。
しかし、私は私であって私でしかない。
暫くすれば、今までと同じようなつまらない暮らしが戻ってくる。
しかし、つまらなさとは、誰もが求めるものでもある。
平和で、退屈で、安定した暮らしとは、まさにつまらないものだ。
私はそのつまらない暮らしの中で、何かしらの幸せを見つけるだろう。
------
人が目の前で死ぬのを見るのは、初めてだった。
死への渇望は燻った煙のように消え、そして私はまた、傍観者として生きようと決めた。
クウシキ
「おっはー入巣。私服ジャン?」
『実は俺ガッコ辞めて働くことにした』
「ぎえー何ソレ」
『何つーの。守りたいものができた系?』
「修学旅行中仲良かったもんなぁお前ら」
『え、やっべーマジ? そんなバレバレだった?』
「てゆーかあからさま」
「ギャハハ」
「んで、愛しの彼女はどうしたの? 今日は一緒に登校じゃないんですか?」
『え、いるけど?』
「え?」
「…柿野じゃねぇのかよ。どういう事だ?」
「ってーか今いる女子って」
「…マケニピ?」
チラリ。
マケ「…いや、ないから。」
- fIN -
utsm3
「櫻井椿」に関する調査報告書
櫻井椿
緋森高等学校3年。生徒会書記。
9月9日生まれ。血液型はAB型。
成績は優秀で常に学年トップクラス。
昨年諸事情により修学旅行に参加できなかったため,今年2年と共に修学旅行に参加。
以上が櫻井椿に関して我々が「認識していた」情報である。しかし,事件後に修学旅行に参加した生徒全員の調査を行ったところ,「櫻井椿」という生徒は「存在しない」ことが判明した。修学旅行中はもとより,それ以前から「櫻井椿」という生徒が本校に在籍していた記録は皆無である。そもそも,例え2年時に修学旅行に参加しなかったからといって,3年時に2年と共に修学旅行に参加するなどという事例は「ありえない」。しかし我々はそれを当たり前のように受け入れていた。この事から,「櫻井椿」は途心を利用して我々の認識へと介入したと考えられる。
「櫻井椿」の正体に関しては,現在調査中である。「オーロラメモリー研究者」に関する発言を行っていたことから,利根川たゆみと何らかの関係を持つ可能性があるが,利根川たゆみは既に死亡しているため,調査は困難である。
「櫻井椿」に関する新たな情報が判明し次第,追って報告を……
------
「主目的は達成できなかったが、まぁ及第点というところだろう。
事象S0004に当事者として参加し、観測できたことは大きい。
立ち回りの失敗は次回以降の反省としようじゃないか。
次があるさ。そう、『次』が──」
kx
修学旅行の帰り道。電器屋のテレビがニュースを伝えている。
ついさっきのことなのにやたら情報の伝達が早い。
『―と、このように飢島よどみは良い生活環境で育ったとはいえないのです。それではこちらの卒業文集を―』
「やれやれ。まったく。修学旅行前のハイジャックならぬ修学旅行終わり間際のテロとはね」
あいつは一人ごちる。剣匠。本名は聞いたことがない。外でも「剣匠」で通している。あるいは名乗らないか。
どさくさ紛れに合流し、一緒に帰路についている。
「いや、それは私のせりふでしょ?」
「実のところブレイスヴァ顕現のほうがやばかったがまぁそれはそれとして。ちゃんと調べてきたろうな?」
「まぁ、ぼちぼちね」
そう。オーロラメモリーの謎の調査。これにはまだまだ謎が多い。
とりあえずポテンシャライザーと途心保管庫にあった龍穴のことをまとめたレポートを提出する。
目を通したかと思うと、どこから取り出したのか文鎮(もちろんクラスメイトの彼ではなく重石のほうだが)にレポートを巻きつけ…
次の瞬間私の額に直撃していた。
「全部既知情報だったな。やる気あんの?」
「いたた…。私が調べる必要あったの? あんたのこと、何度も聖域で見かけたわよ?」
「情報収集能力の訓練に決まってるだろダラズ。見かけた時点で俺に伝えなかったのは失敗だったな」
「調べてる途中だったし、そう簡単に手に入る情報じゃ…」
「しゃらーっぷ。とにかくお前が伝えるよりに先に俺は把握してた。ミッション失敗だ」
「理不尽すぎる…。無理難題とそれの妨害をセットとかどんなマッチポンプよ」
「いつものことだろ」
「まったく…」
そうこうしている間に家まで到着。
「ただいまー」
「わーん、えぬえむさん無事でよかったっすー!!」
妖精にして私の大事な相方のアルティアが出迎えてくれる。泣き顔だ。
「どうしたの?」
落ち着かせるように頭をなでる。
「修学旅行先でテロがあったって聞いて……」
「ちゃんと留守番はできたろうな?」
横から割り込んでくる剣匠。空気の読めない奴だ。わざとやってるのかも。
「もちろんっすよ」
私に抱きつきながらアルティアは応える。
「ならいいんだがね」
そんなこんなで家にあがる。
厳密に言えば剣匠の家であって私の家ではないのだが。
「はー。つかれたー」
「おつかれさまー」
アルティアが抱きついてくる。うつぶせに転がると背中に乗ってマッサージしてくれる。
「気持ちいいっすか?」
「うん。はふー」
そこにかかるアイツの声。
「明日から謹慎名目で一週間休みだそうだな。お前の先生の葬儀が明日らしいから行ったらどうだ?」
「謹慎?」
「まぁ表向きは聖域で騒ぎ起こしたって事でな。実際のところ後始末、引継ぎなどやらねばならんことと英雄たちへの報酬ってとこか」
「英雄っすか! すごいっす!」
「あはは、まぁちょっとね」
体を起こし、アルティアを抱っこする
「でだ。昔、お前死にたがってたこと覚えてるか?」
「うん、そうだったけど…」
「ポテンシャライザーなら今の状況でも死ねたろうになぁ。さしずめガムみたいな扱いで」
「もう死ぬ気はないわよ。今はアルティア残して死ねないし…」
「置いていっちゃ嫌っすー」
アルティアが私にぎゅっと抱きつく。
「よしよしなでなで。それに、アリスはそんなことしないだろうし」
「そうだな。あと休暇…いや謹慎期間が終わったら普通に学校に行け」
「あれ、ミッション失敗ってことで終了したんじゃ…」
「は? 中間結果に決まってるだろ。大体俺が払った学費無駄にする気か? 同じ理由で留年はすんなよ」
「学校楽しいからそれはいいんだけど…」
「休みの日はいつも通り大会とかに出てもらうからな」
「やっぱり…」
こうして私は学生生活しながら紀元槍争奪戦に参加したり、決闘をしたり、その他もろもろの戦いに出たりするのだけどそれはまた別の話。
アイツを越えるのはまだまだ先になりそうだ。
とりあえず今はアルティアを撫でて疲れを癒すことにしよう。
「なでなで」
「ふにゅー」
マーガレット・ハンドレッド・えぬえむEnd 完
N.M
目覚めたときマケニピは混乱した。自分が生きているはずがないと思った。
姑獲女に炎上剣を決められたのは分かった。しかし炎越しに見えたものについては理解できなかったし、
どのように形容したとしても、それについて語るのはそれだけで矛盾のように思えた。
自分を殺したあれが意識の片隅に居座った。それについて知りたいと思った。
マケニピは不眠に悩まされた。些細なことで逆上して家族と恋人を心配させた。
担任が亡くなったことも、途心が手に入ったら実行しようと計画していた野望も、もはやどうでもよかった。
謹慎が明けた日、マケニピは一週間の休学届を提出し、姑獲女の故郷へと旅立った。
mkotha
そうして寒太は平穏な日常に戻ってきたが、彼を取り巻く一切の状況はとくに好転しておらず、
彼は相変わらず意思を持たない操り人形として糸縫家の支配を受けており、
現状から逸脱する術も思いつかないまま日々をすごしていた。
寒太は生命の危機に二度までも晒されたことを振り返り、
災禍に巻き込まれて命を落としたほうが良かったのではないかとたまに思う。
しかし――結局彼は今ここに、操り人形とはいえ生きている。
それは兄の力のおかげだったり、また頼れるクラスメートの力のおかげだったりしたが、
自分が生きているのは、誰かの思いがあってこそだというのを、ここに来るまで目にしてきた。
無に帰すのは簡単だけれど、皆の生きていてほしいという思いがあって、今ここにいるのだろう。
寒太は今では、そのうち紐も解ける日が来るだろうと思っている。
制服の端がちょっぴり揺れて、手を振っているように見えた。
staraiZ
星葬した。
【T】
しゅん
聖域内での最終決戦において、
誰の犠牲も出すことなく勇敢に戦ったアリス。
その戦いを聞いた美登理は、利己的で臆病な己の愚かさを思い知った。
そして、謹慎中、ひたすらと自らの内面と向かい合い続けた。
――――――緋森高校卒業後
美登理は故郷に戻っていた。
家業を継ぐために、
それと己の過去の悪行について両親に謝罪するために。
美登理の物語はまだ始まったばかり。
彼女の心には今、爽やかな風が吹き抜けている。
いつかはあのアリスのような強く正しい人間になれる事を信じて。
mz20
「いやーほんと大変だったねーでもきっとアリスならやってくれると私は思ってたんだよね。ほんと、ってまあ事の顛末を知ったのは終わってからだけれどさ」瀬子は、まだ戦いの跡が残るフィールドに佇む、アリスに話し掛ける。
「私は1回戦で負けちゃったしねー後片付け割とサボっちゃった。っていうかみんな強いね。アリスが一番強いけどさぁ」
アリスは返事をしない。どこか物憂げな表情で、瀬子へ視線を返すこともしない。
「……色々あると思うけど、お疲れさまでした。あと、ありがとうね。私――」
そこで初めて、アリスは口を開く。喋りかけの言葉を遮って、小さく澄んだ声が、瀬子の心臓を揺らす。
「そんなことより、瀬子は、もっと見るべきものがあるでしょ」
なんのこと? と瀬子が戯けてみせる前に、アリスはそこを立ち去った。その代わりに、瀬子の目の前には、自分自身がいた。純粋で、ごく普通な反響剣だった。
目の前の自分は、目を閉じ、ヘッドホンをしていた。浅い呼吸。その周囲には既に、障壁が展開されていたが、それ越しに感じる力場は、破壊そのものだった。
力場にプログラムが敷かれ、どんなベクトルでさえも反転させる機構が備わるのが見える。それは障壁ではなく、むしろ力場に与えられる外力を計測するプローブと、反転しうるだけのエネルギの蓄積。
――知ってる。私自身だ。目を閉じ耳を塞いだとしても、私は知っている。どうやってクラスメイトを殺したのかも、何も。どうやって自分が死んだのかも、なんだって。
「アリス! どうやって私が戦っているのかを見ろと、そういうことなの? ねえ!」瀬子は叫んだところで、その言葉は届かない。当然、返事もありやしない。「知っているよ! そんなの。私は見も聞きもしていないけれど、なんだって、知ってる」
戦闘時に普段とは別の処理系に依存し、自分自身でありながらも半ば客観的な立場で感じていたのは事実だが、全ての感覚は彼女自身にも行き届いていた。フィールド内に張り巡らされた、濃密あるプローブの帰還も、なんだって。
アリスはそれを知らない? それとも。
そう考える一方で、瀬子は、戦闘用の処理系をコールしていた。このままでは追いつかない。数字にして2ターン遅れ。既に小規模な爆発が発生しており、このままでは自分の死は免れない。今の聖域は、死から私を守ってはくれないのだ。
「……ああ、そういうこと、ね」
瀬子は、CPUのコールを取りやめる。
代わりに、自分自身の途心を検討する。構成変動。後出しジャンケンだ。ターン数の差があるとはいえ、有利な戦闘。途心の多寡だって、違う。
逆巻く力場。障壁をねじ切り、向けられた破壊力全てを、適切に相殺する。初めは相殺損ないがいくつか生じたが、過渡状態を過ぎて安定していく。そして目の前の、仮面を被った私自身を、1対と100の目で見据える。開ききった感覚器が、神経をチクチクと刺す。
はは、馬鹿だな、私は。そうやって、『自分の中にビルドした思考』で戦えば、悔しくないと、自分のプライドが傷つかないと思ったか。
涙が溢れていることに気付く。そうして目の前が曇ったところで、視線の先は変わらない。全ては見えたままだ。
悔しかったよ。勝てる、圧倒的に有利な戦いだった。それなのに負けた自分が。悔しかった。いくら代わりを用意したところで、それは私が作り上げた、言わば私自身の投影に違いない。
高揚した精神を、破壊力へと変換、出力する。喉が裂けるほどの怒声を上げながら。
***
泣きじゃくりながら部屋に戻った私を、クラスメイトは驚きながら向かい入れて、慰めてくれた。傷ついたって癒えることを、私はその時初めて、知ったんだと思う。
clown
http://n-ap.com/tf/(18禁注意)
10/0/0/2
儀式剣1、黙祷剣、黙祷剣、残響剣、星霜剣、押分剣
終わりが始まる、紅と蒼の溶解熱のトリガーを握る子供達が、
飛び歩いて行った後を追って、走り出した刻の魔法が。
試合に勝った、勝負で負けた、不甲斐に泣いた、強さになった!!
正五面体の障子に開いた穴から、聞こえたのは絶望!?見えたのは希望!!
運命に言い訳されたキミ、雲泥に吐き出せエネルギイ!!
S.H.A.R.B.E.A.V, How you like me now? 不敵な笑みなら笑ってもイイヨ??
目から生える息吹、指が折れて凶弾、髪が舞って抱擁、背が震えて羽根!!
そこに在った調和、キミは見たか?なにか一つを感じて、キミの元へゆくから。
ナブラを通した魔法の矢印、ぶつかって、転がって、広がって、チリとなって、
見えないよ!そこにあるよ!満ちてるよ!忘れないよ!
ら、た、たんた、らんたた、た、たん、らら、た、たん、たら、ららら。
悪魔の声で、天使の音が聞こえるよ!!
折れた記憶、オモイダスノイズ、シビれた香り、マタタクカンカク、
伝播せり電波!鏡が放つ光と共に、星の先から幹へと向かえ!!
降りれぬトロッコ、高速展開、生きる限り廻る血液、消費摩耗しきる肉体、
疲れた、止まるな、厳しい、保て、限界、超えろ、届かぬ、延びる、
坂道、駆け出せ、覚悟が、追い風、錯綜、吹く、吹く、吹く、吹く!
恐怖、快楽、不安、ハハ、ゆくんだ、永久、不滅、昇華、魂、笑った、
ここまで来たら、分かるだろ?感情は唯一点へ───!!!
廻りて、燃えて、輝いて、降り注ぐ、キミは確かに星になった!!!
終わりの次は?終わりの終わり?
例えそれが「終わり」でも、私たちの胸にその記憶は永遠となって生き続けるの。
じゃぁ、始めようか!
THEKI
●帰宅時
家に帰ったらばあちゃんに怒鳴られた
とても心配されたみたいのだけど
僕を怒ってもしょうがないだろうに
謹慎中は勉強しろと小言を言われながら
ただひたすらに引き篭もってゲームをしたり音楽を聴いていたりした
修学旅行を振り返ると
今回の修学旅行で友達は増えたような気がしないこともない
あのクラスに打ち解けたような気がしないこともない
でもやっぱりどうやって絡めばよいのかよくわからない
だけどあのクラスは僕が今まで生きてきた中で特別になったことは間違いない
あんな事件がなくても心に残っていたと思う
●登校再開後
前髪リリースバック
愚かな自分を変えてみた
笑いながら敬礼してやろう
胸を張って敬礼してやろう
みんなが笑えば僕も嬉しい
Lucieal
***修学旅行1日目***
殺し合いがすごく怖い。
殺されるイメージしか湧かなくて何も考えられない。
生き延びたい。
---
***修学旅行2日目***
片平さんを殺した。
その場でむくっと起き上がった時に異様な安心感を覚えた。
ひどく弱ってしまって、その日の夜は恥ずかしい態度を取ってしまったと思う。
思い出したくない。
---
***修学旅行3日目***
おりのを殺した。
おりのの構成の真意が解らなくて、まだ何かやってくるのではないかと、
試合が終わってからもビクビクしていた。
紫電に支配されている時に、紫電がはじめて世界を見たときの光景を共有した。
開けた土地。勝ち取った土地。
日の光が目をくらませて、気づいたら勝っていた。
おりのも戦いが終わってから励ましてくれた。
だめだな、周りから見ても随分弱っているみたいだ。
片平さんに落ち着いてごらんと言われて残響剣を勧められた。
---
***修学旅行3日目***
ユーリカンを殺した。
ユーリカンには悪いことをした。
いつも通りの態度で接して、試合前にあんなだったから相当怖がらせたと思う。
残響剣のおかげで、自分を支配されずに初めて勝てた。
途心相応の構成が使えたお陰で、試合が終わっても全身が重くなる感じがなかった。
ひばりさんがやられた。
最近感じが変わったけれど、溝漬さんにどうしてあんな怒っていたのかわからない。
でも的外れにキレていたわけでもないと思った。
今回紫電を呼び出したときに、意識を支配されることはなかった。
絶対に負けるなとは言われた。
自分に甘んじていたと思ったので、髪を切ってみた。
変にテンションが上がってしまっていて、周りから変な目で見られているかもしれない。
でも我慢できなかった。
---
***修学旅行4日目***
溝漬さんを殺した。
正直博打を打ったと思う。私らしからぬ思い切りの良さだった。
髪を切ったままのテンションの高さで、相手の虚を付く構成そのままで挑んだ。
試合後溝漬さんが怯えていた。
死技野さんが大変なことになっている。
デスキャンセラーがなかったら今頃どうなっていたんだろうか。
カシュラムのことは良くわからないけど、恐ろしいことが起きようとしている。
今片平さんが布団で寝ている。すごい寝言言っててかわいい。
---
***修学旅行5日目***
死技野さんを殺した。
リリースバックを行っていないようだった。
実質勝ち目はほとんど無かったが、運よくその構成でもリリースバック前の構成に勝てた。
鯛良先生が妙な相談を持ちかけてきて、混乱してぶん殴ってしまった。
こんなもの使う機会があるんだろうか。よどみ先生はそこまでする人ではない気がするのだけど。
ただ悪い予感だけがしている。
---
***修学旅行5日目***
よどみ先生を殺した。
悪い予感は完全に的中していた。
たゆみ先生も鯛良先生も亡くなった。
クラスメートも私もみんな殺されるところだった。
久しぶりに我を忘れるほど怒った。
私の判断が間違っていたとは未だに思っていない。
ただ終わってから大泣きした。
今日はもう寝る。明日家に帰れるから少し休みたい。
二度とこんなことが起きなければいい。
---
***謹慎1日目***
家に帰ると両親が大慌てした様子で迎えた。
私たちがあそこにいる間に、既に事件は報道されていた。
両親も随分心配したようで、実名報道された生徒が私一人だったあたりから、
教師を斬ったのは私だったと知っていたようだ。
元々私は剣に興味が無かった。
それは両親の受け売りもあった。
あなたあの先生を切り伏せたって本当なの?と母親が訊いてきた。
さすがに話しづらかった。
あそこで既に担任を含めて人が死んでいたことや、
クラスメートを人質に取るような挑発を受けていたことを説明した。
母親は一度、非帯剣者によるテロに巻き込まれて銃弾を受けたことがある。
元々それほどの使い手というわけでもなかった母親は、そのことが拍車をかけて、
私に戦いを避けてほしいと願っていたようだ。
母親の動揺に見かねた父親は私に語りかけた。
そういう時に頼れる力を得て欲しかったから、あの学校に入れたのだと。
---
***謹慎2日目***
傷が開くので一日寝ていた。
明日の葬儀に備えて、リリースバックする必要もある。
---
***謹慎3日目***
葬儀があった。
教師三名の棺が担がれてきたとき、私は複雑な気持ちになったけど、
クラスメートは察知してかフォローしてくれてはいた。
私は火葬前に、ポテンシャライザーの破片を鯛良先生の棺に入れた。
先生はきっと微妙な表情してるだろうな。
葬儀が終わると予想通り報道陣が押し寄せていたので、
このためにリリースバックした構成(5/0/0/8/黙黙残星押/)で切り抜けた。
---
***謹慎4日目***
得体の知れない機関の人間が謹慎中何度か家を訪れた。
恐らく学校と何らかの関係があったか、よどみ先生の残党が私を消しに来ているのだと思った。
私は積極的に武力鎮圧をするつもりもないし、
たゆみ先生のように研究者気質でもないため丁重に断った。
---
***謹慎5日目***
謹慎最後の日。
片平さんから電話がかかってきた。
「学校の近くの駅前に11時に」とだけ書かれていた。
片平さんは片平さんで相当心配していたらしい。
一度弱みを見ているからだとは思うけど、
もてはやされることで凹んでないかと思ったようだった。
かわいい。撫でた。
一日ショッピングに行った。
髪を切ってから初めてまともなおしゃれをしたと思う。
楽しかった。
---
***謹慎明け1日目***
新しい担任はやはりまた胡散臭い先生だった。
たゆみ先生は好きだったけど、鯛良先生はやはり胡散臭かった。
どちらかで言うと間違いなく鯛良寄りの胡散臭さだ。
よどみ先生の担当していた化学の引継ぎ教師らしい。
クラスメートは皆変わらない様子を装って、明らかに修学旅行前とは別人のようだった。
明らかに変わったことと言えば、朝方死技野さんが「押忍、番長!」と挨拶をしてきたことくらいだ。
番長というような気質でもないし、そもそも死技野さんなので、あははおはようとだけ返したけど。
担任が名前を覚えたいから自己紹介をしてくれと申し出てきた。
当たり障りのない挨拶をしたと思う。阿波野が番長!と言って騒いだところを瀬子が殴った。
その一日は本当にいつも通りの一日だった。
ユーリカンと交換してた漫画を返して、次を貸したり。
剣道部で後輩に実際に呼び出した紫電の強さについて語ったり。
今までしてこなかった組み手(即席剣でだけど)も、少しだけやった。
何も変わってないようで、ひどく楽しい日だった。
もう少しで体育祭らしい。
楽しみだな。
supply
本キャラクターは作者の意向により二次創作が禁じられています。
遥かな時と場所を超え、
悪魔王との戦い、群がる剣師たち。
流れ星の見える塔、災いを封じた箱、
そして緋森高校での事件と日常。
盾の剣師JuNは全てを思い出し、しばらくしてから旅立った。
マーガレットを巡る冒険は続く。
s_sen
利根川よどみ教師は聖域でのテロルを入念に企てていた。妻である利根川たゆみ教師および鯛良教師を殺害し、緋森高校の修学旅行時に龍穴の占拠するところまでは思惑通り成功したが、大途心獲得後に自分が戦闘で敗北する可能性を考慮しておらず、利根川よどみの予想を超えてその天性が早熟したアリス・シンガブロッダによってこれを打ち破られ死亡した。鯛良教師がかけていた保険にも気づいたのがその発動後であり、利根川よどみの計画はどちらにせよ失敗することが決定していたと言える。鯛良教師が聖域に保管されていた兵器の存在を知っていた理由は不明。利根川よどみの動きを抑制したい意図が介入した可能性も否めない。
戦闘終結後、細川弑奈を含むよどみ配下の残党は二年一組の生徒たちが捕縛。また教頭の外堀が事態の収集にあたり、修学旅行は中止となった。死亡した教師三人の遺体は警察の到着前に王立ネットワークに回収された。
一連の事件は名門の緋森高校の修学旅行で起こったことであること、起こった場所が重要施設の聖域であることに加え、主犯の飢島よどみ教師が純粋独立地区の出身であることや、彼女が幼少期に両親から虐待を受けておりそのために精神を歪めていたこと、友人・恋人関係に恵まれず自暴自棄になっていたこと、帯剣民を中心として世間への怒りと憎悪に満ちた思想の持ち主であったこと、宗教法人≪希望世界≫の信者であり幹部の指示で犯罪行為に何度も手を染めていたこと、が強調して報道された。不帯剣民に対する世間のマイナスイメージは一層強化され、与党の打ち出す政策に大きく影響を与えた。≪希望世界≫も警察の取調べを受け、幹部を含む数人が逮捕された。
生徒たちは家に帰り、教師三人の葬儀を含む一週間の謹慎後に再び登校の日々が始まる。事件の被害者として同情を集めつつ、アリス・シンガブロッダを中心とした状況対応は過剰に評価され、テロル阻止の英雄であるかのような扱いを受けた。だが本人たちにとっての大事である就学の義務から逃れられる訳ではなかった。
生徒たちの学校生活は続きます。
事件終結時、帰宅時、謹慎時、登校再開後、などの様子を描写して締めとしてください。
全員が参加可能です。
当サイトに掲載する場合、ファイルサイズは合計50KB以内でお願いします。
応募者が用意した外部サイトへの形で投稿するのも可です。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
2010/06/12(土) 24:00
オオオオオォォォォォ……
その事実が始めてたゆみに露見したのは、彼女の目の前で鯛良が殺されたときだった。
「死が……棄却されない? 鯛良先生……鯛良先生!」
鯛良の体から血溜まりが広がっていく。それは生命そのものの流出だった。かけがえのないもの。もう戻らない。もう間に合わない。
よどみが剣を振って血を払う。
「わたしのかわいい生徒たちが、どうやらちゃんと仕事をしてくれたようだな」
美化委員。彼らはよどみの命を受けて聖域のコンソールを占拠していた。
「聖域全体を効果範囲として稼動していたデスキャンセラー。決勝戦終了直後にクラッシュさせた。もう、この聖域は死から守られてはいない!」
「……どうして……?」
「どうしてか。どうしてだろうな? 何を聞きたいのかは知らないがあなたの問いに意味はない。ただ一つ、わたしがあなたに聞くだけだ。生徒たちの命と、途心保管庫の禁。ひとつ取りこぼれるならどちらを切る?」
「あなた、一体なにを……?」
「途心保管庫の施錠を解けと言っているのだ」
「そんなこと……!」
聖域が、有力者が有事の際に利用する非難所であるのは真実である。しかし偽装でもある。秘密にされている建造目的が他にもあった。
龍穴。
それは物質世界と概念世界との界面であり、非物質エネルギー「途心」を懇々と吐き出しては霧散させ続ける球体。その王立ネットワークの力の源である鉱脈を秘匿し独占するためにこそ聖域は作られた。王立ネットワークのスタッフとしてその機密を口堅く守っていた利根川たゆみだったが、辛抱強く親密さを稼いだよどみが遂にその口を割ることに成功する。
龍穴の力は強大だ。よどみはその力を使って、自分の心象風景を表現したかった。濁流。濁流で世界を嘗め回す。
彼女はこの修学旅行で何としてもこの龍穴の力を得たいと考えた。しかし龍穴のある部屋は途心保管庫と名づけられ絶対施錠されている。緋森高でこれを解除できるのは、王立拡網委員会から許可を与えられている利根川たゆみだけであった。
「細川弑奈の性能は知っているだろう?」
細川弑奈もまた伊呂波教の暗殺者であった。暗殺者は暗く殺す。
「弑奈には、お前が逆らえばお前のかわいい生徒たちを暗殺するようにするように言ってある。敵にも他者にも認識を許さずに攻撃できるのが暗殺者だ。相手に構成の変動の機会も与えずに一方的に仕掛けられる。たった10点の途心でも、どれだけの生徒を葬れるだろうな?」
たゆみは絶句する。愛を交わしていた妻が豹変し、毒の乗った交渉を容赦なく突きつけてくる。
「状況は理解できたな? 生徒たちの命剣と途心保管庫非開錠剣。あなたの途心はたったの1点。さてどうする?」
回避できない二択。利根川たゆみは迷わなかった。
アリスが途心保管庫に駆けつけたとき、鯛良もたゆみも既に葬られていた。
「すべてを手に入れた」
利根川よどみが、芝居がかった仕草で振り返る。かざしたその手に燃え移っているのは、溢れんばかりの途心だった。
「見るがいい。だれもが一度は口にしていながら、決して見ることの出来なかったもの。概念世界のおとぎ話。そう、これが――……『すべて』だ」
それは何でもないし、何にでもなる。これだけの量があれば、本当に何にでも。
過剰な量のその途心を、擦り切れるように軋み音を立てているその途心を、よどみはすべてと呼んだ。
(これは『ポテンシャライザー』と呼ばれる兵器だ。瞬間的にだが、エネルギー抵抗を無視して自分の途心に下駄を履かせることができる)
アリスは後ろ手に隠していた、柄の無い刀身のみの剣を握り締めた。ようやく起動した。剃刀のように鋭い刃だが、血は流れない。この剣は使用者だけは傷つけない。
(その代わり人間の命をねだってきやがる。これはな、他人の生命を、一瞬の途心に変換させる出来損ないのシロモンだ。交換としてはまるで割に合わないクソブレードだ……が、生贄さえ積めばどんな敵でも倒すことが出来る)
アリスは鯛良の言葉を思い出す。
(細川は、よく分からねえが、まあ正面からさえやり合えばお前らでも押さえ込めるだろう。だがよどみは、アレはだめだ。どうにもならない。魔王だ。世界全域を地獄に変える力を持ち、かつそれを心から望んでいる人間だ。誰かがどうにかしなきゃなんねえ。オレには無理だった。だがそして今、ようやっと確実に殺せるチャンスを捻り出せたんだ。もちろん、手を汚さないのもお前の選択だ。しかし目の前にいるお前らを、彼女が見逃す保証もない。説明は以上だ。すまん。あとは頼む。全部をだ。マジで全部)
そのときは、ポテンシャライザーを床に叩きつけ、鯛良を殴った。
恩師たちの死を目にして、アリスの血が沸騰する。脳のクロックの留め金が外れる。新たな回路が形成される。途心が燃え上がり、白熱する。この火事場で、途心の制御力が飛躍的に高まっているのをアリスは感じていた。
そして背後に控える大切なクラスメートたち。出来れば全員守りたい。守りたい、が――
「お前を見ていて、ずっと考えていたよ」
よどみは目を細める。
「アリス――お前の才能は、幾らで売れるのだろうかとな。お前の才能は、どれだけを殺せるのだろうとな。今となってはどうでもいいことだ」
そしてその手に剣を現出させる。それは、障害を払うためでの剣でも、不快を薙ぐための剣でもない。
「それでもお前は手にかける価値がある。一つか二つ、策を隠しているな? まとめて圧し潰してやる」
25/5/0/8
先行剣、導来剣0、魔封剣、黙祷剣、胎胎剣、剣戟剣、剣戟剣、加速剣、加熱剣、舞踏剣、魔封剣、押分剣
教師。
意識内で常時鳴り響いている不協和音を楽しんでいる。視界は澱み、濁り、腐臭に満ちており美醜の区別がつかずどんなものにも嫌悪を抱くことは無い。とめどなく溢れる感情の濁流と、混沌に満ちた認識の中で彼女が快感と共に唯一拾えるシグナルは、他人の言葉や身振りや行動から読み取れる、精神の固有振動パターンの、平均値からの距離である。歪さである。
アリスが自分に向ける憎しみが、一過性の愉悦しかもたらさないことは分かっている。その奥にある芯の強い魂の絢爛豪華な崩壊は、やはり、拠り所にしている希望すべてを折らねば見ることは叶わないだろう。
それを愛だと説いても通じないのは理解している。無駄なことはしない。
最終決戦進出者は「5-5変動」を行います。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せばエンディングとなります。
倒せなければゲームオーバーとなります。クラスメートは全員死にます。
ポテンシャライザーを使用すると自分の構成(身体性能と剣)を強化することが出来ます。
ポテンシャライザーを使う場合はそのコストとして、マーガレット・ハンドレッド参加者で自分以外のキャラクターを一人以上指定してください。
コストとして支払ったキャラクターそれぞれにつき、その構成に含まれる途心1点分の強化を得ることが出来ます。例えばコストとして支払ったキャラクターの構成が「5/0/0/4/黙祷剣、爆炎剣、爆炎剣、爆炎剣、先行剣」だった場合、HP5点、素早さ1点、黙祷剣、爆炎剣、先行剣、のいずれかを得ます。そのキャラクターが一回以上勝ち進んでいた場合、構成は最新のものが参照されます。
コストとして支払ったキャラクターはエンディングに参加できません。
最終決戦の対戦組み合わせは以下です。
最終決戦より後は以下の要領で進行します。
これまでと同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
お任せします。
当サイトに掲載する場合、ファイルサイズは合計250KB以内でお願いします。
応募者が外部サイトに演舞を用意するのも可です。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
2010/06/05(土) 24:00
決勝戦では、2名のうち1名が次戦に勝ち進めます。
手で処理しています。何かミスがあればご指摘お願いします。
1.6.8に更新しました。
決勝戦で、ウブメのオーナーである屠殺彦君が提出に遅れました。
ウブメの構成変動は受理せず、第四回戦のままとします。以下理由。
提出が期限間際になるプレイヤーは多く、期限超過は対応する価値のあるリスクである。期限超過を待つとその都度ゲームの進行が滞るし勝負が歪む。なので、必要に応じて「期限内に提出が無ければ前回のままになります」「設定や演舞も期限後は受け付けません」などとペナルティを明確にする。
王立ネットワーク。
それは宗教でもなく思想でもなく政治でもなく技術を拠り所として人間を繋いでいる、国家横断的な技術勢力網である。
森林図書館で参照できる沿革によると、王立ネットワークは『悟界の王』が大戦時に構築した秘密の連絡網を歴史の起源に持つとされている。しかし歴史は無いよりマシなデコレーション、あるいは益体も無い神話程度にしか思われておらず、ネットワーク内部の人間ですら誰もその真偽を重視してはいない。彼らが重要視するものは、技術の結晶にして現実に力を及ぼす思考そのものたる『剣』のみである。剣を以ってすればすべてをも統括できるという方法論。その体現として『議論』と呼ばれる意見交換システムが意思決定機関の役割を担っている。『議論』では王立ネットワークの多数の構成員に割り当てられた細切れの思考テーマの集積が、自ずと全体の意思決定方針を出力するようになっている。その全貌を把握する者は誰もいない。悟界の王は現存しないのだ。
オーロラメモリーの実現以降王立ネットワークは急速に力を増し、今では地上すべての国を網羅する斑点のようにその版図を広げている。
剣は理論上は誰でも使えるものであるはずだったが、オーロラメモリーの帯域と途心の量は有限だった。そのリソース不足のために用剣の効果は多大な教育コストに釣り合わぬことも多く、これが剣を持たぬ民、すなわち不帯剣民の存在を残すこととなった。
自己肯定のための差別主義。自己防衛のための平等主義。嫉妬や復讐心への耽溺と堕落。根拠を求める自尊心に、根拠のない身内贔屓。人間生来の脅迫的排他感情へのメタは未だ見出されておらず、帯剣民・不帯剣民は軋轢を以って分離した。
特に、不帯剣民のうち剣への嫌悪を最高価値とすら信じる者たちが自ら王立ネットワークを拒絶して独立した生活環境を作ることもある。これを純粋独立地区という。純粋独立地区は世界中に数多く存在しているが、通信路や貿易路はほとんど帯剣社会に占有されているため、それぞれが孤立した山村のような閉鎖系となって経済力を落とす。またその格差に目をつけた宗教家や商賊が純粋独立地区からさらなる搾取を行い、純粋独立地区は活きず死なずで痛んでいった。
利根川たゆみ。
彼女は学卒後、卓抜した数学センスと多重世界仮想に優れた想像力を発揮してオーロラメモリーの研究開発に従事していた。しかしネットワークの高位の『議論』であるルールビューシャが、利根川たゆみの高い能力を教育によってある程度複製できる可能性があると考え、彼女を緋森高校に派遣した。剣で剣を生成する、追加系の剣のような発想による施策である。緋森高校に来た彼女は教育委員会で用剣の教科書の更新を努める一方、生徒たちを一級剣師に仕立て上げ、可能な限り多く王立ネットワークに排出する任務を忠実にこなしている。
彼女に本音と建前の区別はなく、奇麗事と真実を奇跡的に融和させてその『先』を夢見ている。
利根川よどみ。
彼女は利根川たゆみの妻である。旧姓は飢島。
飢島よどみは純粋独立地区出身者である。強支配型宗教である伊呂波教の信者の夫婦を両親に、彼女は軽度の知覚異常と不感症を背負って産まれた。愛嬌を持ち合わせなかった彼女は精神的余裕の欠けた両親の不快と不安を招く。虐待同然の劣悪な環境下でその肉体には一生消えない傷を刻まれたが、それにも関わらず、精神の方には環境の影響をまったく受けなかった。知覚異常と不感症そのものがゆえに、心的外傷をわずかにも負うことなく成長していったのだ。両親の彼女に対する化物呼ばわりの罵倒は正しく、攻撃は無効果ながらも結果的に正当だった。よどみは闇の中に生まれた純黒だった。純黒は光にも闇にも染まらない。
伊呂波教の教祖は彼女の人間離れした脱感情能力と歯止め知らずの発想力を見抜くと、伊呂波教の執行人員として高待遇を以って抜擢した。暗殺技能訓練を施しさらに剣までをも与え、帯剣民としての市民権も不正規の手続きによって買い与えた。
よどみの住居も純粋独立地区の外に移されて両親とは引き離される形にはなったが問題は起こらなかった。両親は教祖の傀儡であったし、よどみは両親に対して正にも負にも執着が無かった。
よどみは教祖の期待通り暗殺者としての優れた手腕を振るう。さらに彼女が戦闘行為に限らない多面的な実行力も併せ持つことが分かると、教祖は彼女を用いて有能な執行人員を増強することを考えた。
教祖の依頼を受けたよどみは緋森高校に目をつけて化学教師として就任。学内での政治力を手っ取り早く得るために、有力かつ身持ちに隙のある教師たちすべてを男女の別なく次々と床技で篭絡していった。鯛良も利根川たゆみもこれに含まれる。
よどみは利根川たゆみを格別に利用価値が高いと見て婚姻関係を結んだ。姓も利根川に変更。
そして美化委員の顧問となって生徒たちに自らの悪意に満ちた思想を吹き込み、卒業後に伊呂波教のエージェントとなるよう斡旋し教祖から金を受け取る。報酬は人材の性能に応じて上下したため、現二年で言うところのアリス・シンガブロッダや習志野瀬子、紅林明夫のような不可測高能者を、王立ネットワークの目を誤魔化して伊呂波教に送り込むこともしていた。
「弑奈ちゃーーーん、ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん! むわぇいっ」
細川弑奈の肩を後ろからばしばし叩き、仕上げに首筋を一舐めしたのはよどみ教師だった。
「わっ! 先生」
「段取りは分かってるな?」
「ええ。時は、決勝戦後……」
決勝戦が終わればしばらくは戦闘は起こらない。それが事態の発覚を遅らせる。その隙に彼女らは事を為す。この、聖域で。
「先生」
「何だ?」
「いつになくご機嫌ですね」
「ああ。もうすぐ……もうすぐ、『すべて』が手に入るからな」
「……あ……え……あ……『すべて』……?」
「? どうした弑奈」
突然、細川弑奈が目を見開いて硬直する。
「『それ』は……『すべて』でもある……」
細川弑奈がその視線の先にある『何か』を見て泡を吹く。
「弑奈!」
その瞬間、よどみ教師の脳裏で強烈なアラームが鳴った。ひとつの単語が頭をよぎる。カシュラミネーション。
(――無い、無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い)
よどみは細川弑奈が一体何を見てしまったのか、確認しようともしなかった。類稀な危機回避能力を発揮して、瞬時に自分の認識を閉じる。思考活動を停止させる。ブレーカーを落とすように。
(見てはいけない聞いてはいけない想ってはいけない知ってはいけないその可能性に思い至ってもいけない考えてはいけない逃げても追いつかれる忘れても思い出させられる抵抗はすべて剥がされ論理はすべて覆され希望はすべて断たれるだろう、だから、『無ければならない』、それを疑ってはいけない信じてもいけないただ無いことにしなければならない無いことにしたということすら無かったことにしなければならないその反復の果てで自分の意図とは無関係な彼方でそれが始めから無かったし終わりまで無いことを何も知らないでいなくてはならない、だから、無い、無い、無い無い無い無い無い無い無い、無いという言葉さえも無く、――、――、――、――――――――、――――――――――――、 、 、 、 )
よどみは気絶した。咄嗟に試みた通り、何も分からないまま。さもなければ、ありもしないトラウマをえぐられていたことだろう。
たゆみ教師は何も気づいていない。
かつて政治上の障害を排除するために画策した美化委員による彼女の暗殺は、よどみにしてみれば万難を排したつもりだった。しかしたゆみはそれを退けた。彼女の能力が極めて高いものであることがそれで知れた。しかしその反面隙も多い。彼女は人を信じ過ぎる。そして人を愛し過ぎる。その脆弱性を利根川よどみは遠慮なく衝く。
利根川よどみという化物をここまで手に負えないものにしてしまったのは自分だ。鯛良はそう考えていた。彼女の悪性に気づいておきながら今まで何も出来ずにいた。誘惑に負けて彼女を手助けすることさえした。とは言えたとえ我が身や人生を捨てても、なりふり構わず殺すことすら不可能だったろう。単純によどみ教師は強すぎる。彼は、よどみ教師の尋常ならざる途心を垣間見たことがある。そこで聖域だ。聖域の武器を使えば、あるいはよどみを葬ることも可能かも知れない。しかし精神掌握の問題もあった。絶望的な途心差を抜きにしても、精神構造体の一部、情緒と慈しみを司る『静けさの部屋』をよどみに掌握されている教師たちはよどみに直接手をかけることが出来ない。だから期待出来るのは生徒たちだけだった。ポテンシャライザー。予想以上に遅延が長いが、あと少しで起動できる。その行使によって支払わなければならない代償は計り知れないが、確実によどみを葬れるのはこれだけだ。まさに血塗られた剣。最も強く、最も信頼できる生徒にこれを渡す。
アリス。
決まりだ。彼女の自我の澱からの脱却は予想以上に早かった。その克服にすら素晴らしいセンスを見せた。やはり天才だ。申し分ない。今の彼女にならポテンシャライザーを、この罪を託すことが出来る。もちろん彼女は戸惑うだろう。だが必ず乗り越えてもくれるだろう。適任者は彼女を置いて他にはいない。
しかし――
何か忘れていやしないか?
細川弑奈の視線の先にあったもの。それは死技野姑獲女だった。死と絶望を超えて、彼女は『決して人ならざる何か、ただし人でもある』になりつつあった。オフェンシヴカシュラム。それはただ『想う』だけで、ただ『知る』だけで脅威をもたらすあまりに危険な『その概念』を、彼ら自身の故郷であるカシュラムから連れ来たる者。カシュラミネーション。それはその発現。鯛良もよどみ教師も予期していなかった全く別方向からの脅威。
事態は転がっていく。斜め下の奈落へと。
決勝戦進出者は「3-2変動」を行います。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
決勝戦の対戦組み合わせは以下です。
決勝戦より後は以下の要領で進行します。
これまでと同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
今回は試合の処理と結果を、HTMLのページで掲載します。基本はGMが機械的に処理した結果を記載しますが、各プレイヤーはそこに織り交ぜる演舞の指示を送ることが出来ます。たとえば以下のような感じです。
演舞指示はキャラクターと一緒に送ってもらいます。つまり試合結果を知るより前に指示してもらうことになります。試合展開をうまく予想して、すてきな演舞をひねり出してくださいね。GMは基本的には言われた通りに演舞を入れますが、流れを見て独断で編集することもあります。
演舞指示テキストのファイルサイズは10KB以内でお願いします。
カットイン画像はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは合計250KB以内、でお願いします。推奨は横400×縦150とします。見易さの都合上画像はあった方が好ましいです。
アリスは画面左にいて右向き、姑獲女は画面右にいて左向き、とイマジナリーラインを考慮したら、カットイン画像が交互に入ったときにかっこよくパタパタするかも知れません。気にしなくてもいいです。
屠殺彦、期限内に全部送ること! ブレイスヴァ行為はほどほどに!
期限は2010/05/22(土) 24:00です。
決勝戦進出者以外の生徒による実況演舞を募集します。
などなど、試合を盛り上げる素敵な実況を募集します。
まず実況希望者は2010/05/22(土) 24:00までに、「実況希望」の旨および「自キャラが誰なのか」を書いたメールを送ってください。応募できるのはマーガレット・ハンドレッドの参加者です。ピローファイトの人も可とします。GMは決勝戦を処理してHTMLを作ったら、その人らに送ります。実況希望者はその処理結果を見て挿入するテキストと絵を返信してください。
GMは基本的には言われた通りに演舞を入れますが、流れを見て独断で編集することもあります。
実況指示テキストのファイルサイズは10KB以内でお願いします。
カットイン画像はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは合計50KB以内、でお願いします。推奨は横300×縦100とします。見易さの都合上画像はあった方が好ましいです。
実況演舞の提出期限は2010/05/25(火) 24:00です。間に合わなければ諦めてもいいです。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
第四回戦では、4名のうち2名が次戦に勝ち進めます。
手で処理しています。何かミスがあればご指摘お願いします。
あと、GMは言われた通りに演舞を入れるだけ
とは言ったものの、「溝漬 郁良 vs アリス」では、わりと指示をはみ出して好き勝手かましちゃいました。その主な理由は、条件に適合しなかったために使われなかった素材がいくらかあったのが、勿体無いなって思ったためです。あとは戦闘の流れを見て適当に。問題があったらご連絡ください。なおします。
「弓野理解子 with 実父 vs デステクノ ウブメ」は指示通りに処理しました。
試合と同期して公開していきます。
転校生の細川弑奈を囲んで生徒たちが談笑していたときのことだった。
それは、遠里小野おりのが何気なく発した質問から始まった。
「そういえば細川さんって、何か部活とかには入る予定あるの?」
「ああ部活ではないけど、美化委員に入ったんだよ」
美化委員。
その単語が細川の口から飛び出たとき、一瞬ではあったが確かに場が凍りついた。
「へ……ーえ……それはまた、勇気のある選択をしたね……」
遠里小野は咄嗟にできた限りの迂遠な表現で話題を打ち切ろうとする。しかし細川弑奈には通じなかった。
「転校当日に誘われてね。みんないい人ばっかりだったし、活動内容もとても素敵で正しいことだったから、わたし思い切って、すぐに入ることにしたの」
「そうなんだ……」
さすがに温度の下がった場を察し、細川は慌てて手を振る。
「あのー、みんな美化委員が怪しい人たちとか、危ないことをする人たちの集まりだと思ってるかも知れないけど、全然そんなことはないんだよ!」
「あ、いや、うん、そうだよね。わかるわかる。掃除とかするんだよね」
視線でロックオンされている遠里小野が相槌を打つ。話を打ち切りたいのなら失敗である。
「そうそう。みんなきれい好きだから自分から率先して掃除したりしてね。それにね、一口に『美化』って言っても言葉どおりの清掃に限ってはいなくって、多角的な美化活動を行っているの」
「へえ……」
「美化って、汚いものをきれいにすることでしょ。じゃあ、今の世の中で優先的にきれいにすべきな『一番汚いもの』って何だと思う?」
「うーん、わたしにはちょっと分からないかなー……」
「そうだよね。いきなり言われても分からないよね。でも仕方がないよ。わたしも勉強会に参加して先輩に教えてもらうまで気づかなかったんだしね。でもね、自分がそれを知らないということを知ってから、それでも知ろうしないのはとても愚かな行為なんだよ。でも大丈夫、わたしが教えてあげる! あのね、一番汚いもの、それはこの利権と経済的暴力にまみれた人間社会のことなの」
「……そうなんだ」
「いま帯剣民と不帯剣民の格差が問題になってるでしょ。あれの原因は何かって言うと、帯剣民による不帯剣民の搾取構造のためなんだ。あのね、これは悲しいことなんだけど、わたしたち帯剣民は豊かな暮らしをしているうちに、自分でも気づかない間に際限のない欲望に取りつかれてしまっているの。そうしてみんなが自分の幸福ばかりを考えるようになって、その結果知らないうちに不帯剣民から搾取してしまっている。この世に純粋独立地区のような悲劇があるのは、わたしたち帯剣民にもその責任があるの」
「……ぅん」
「これを弱肉強食の構造と見る人がいるかも知れない。不帯剣民は弱者で、だから負けた、それだけの話だ、って。でもそんな単純な話でもないんだ。だって、この格差構造のために自分たちだけは被害を受けない、関係ない、なんて甘い話はないんだから。この構造のポイントはね、社会の生産力には限界があるのに、欲望には限りが無いってことなの。だからこのまま飽食を続けていけば需要に供給が追いつかなくなってこの世界がいつか破綻するのは確実なんだ。分かる? この状況はね、このまま放っておくと大変なことになるのよ!」
「……」
「もちろん、いきなりこんなこと言われてもピンと来ないかも知れないし、急には信じられないかも知れない。けど疑わしいと思ったなら自分で調べてみて。そうすれば本当のことが分かるから! あ、でも王立ネットワークの情報操作には気をつけてね!」
「……」
「じゃあさっき言った破綻を回避するために、どうしたらいいのか? それはね、……」
細川弑奈の話は二時間にも及んだ。百草はとっくに場から離脱している。
それはそれとして、勝利者は途心1点を得る。さらに連日の奮戦で途心制御が熟達し、リリースバックも一日で2点できるようになった。
演舞場で談笑する生徒たちを壁際で見守りながら、鯛良は懐の剣を弄んでいた。
未刻銘014。通称『ポテンシャライザー』。オーロラメモリーに登録されていない剣、つまりは具現化も複製もできない剣のひとつ。機能上の問題が解決されておらず実用には達していないものの、強力無比な効果を持った未完成。そのような研究用の素材が、聖域にはいくつか保管されていた。
(こんな呪いでもかかってそうな出来損ないにでも頼らなきゃならない。胃が痛んでしょうがねえ)
痛みの半分は、たゆみ教師を思い浮かべてのものだった。彼女はこの剣の使用に猛反対するであろう。当然だ、自分だって反対だ。だが破滅を免れる方法は他にない。たゆみ教師の優秀さも度を越してはいるが、愛する生徒たちのことになるとそこをシビアに考えることが出来ない。だから自分が手を汚すしかない。しかも最悪なのは、手を汚すと言っても自分がするのはこの難物を持つべき者の手に運ぶまでだけで、本当の意味で手を汚すのはこの剣を渡すその相手だからだ。鯛良は罪を背負うだけではなく、教え子に罪を背負わせなければならないのだ。それが彼の胃をいっそう痛ませた。自分の大儀と犠牲を誰にも理解してもらえない英雄の悲劇があるが、自分の行いを自分ですら肯定できない場合は、嘆きの落とし所をどこに見つければいいのだろう。いっそたゆみ教師に打ち明けて叱られることすら幸福かも知れない。だがそれは逃避だ。
自分で撒いた種を自分で刈り取れない。厚顔無恥にも、その責任を子供たちに押し付けなければならない。彼の陰鬱は夜明けが来ても贖われないだろう。
それでも考えなければならない。無銘の剣を手にする適任者は誰だろうか。鯛良は絞られた候補たちを一人ずつ吟味する。
溝漬郁良。
最初に思い浮かべたのがよりにもよって彼女で、鯛良は吹きそうになった。そうだ。彼女はおおよそ罪悪感とは無縁の人間だ。ある意味ではこれ以上ないほど適任とも言える。実力は……ここまで勝ち残ったのだから全員申し分ないだろう。
だが、精神的苦難を回避し続けてきた人間にこの剣を渡すのはいささか抵抗もある。本来ならば、人命を尊ぶ心を持った上で、必要に応じてそれを切れる決断力を持った人物が望ましい。しかし高校生にそれを期待するのも酷な話だ。溝漬の成長を待つ時間もない。最善も次善もすでに断たれ、目の前の現実に対処するしかないのだ。
「眉間に皺が寄っているよ。今にも人を殺してしまいそうだ」
「!」
考えに耽っていて気づかなかった。宝良花巻が、鯛良の横に立っていた。眼鏡越しの理知的な瞳が、鯛良を捉える。
「宝良」
「知っていたか? あなたに出来ないことがあるとしよう。それは、どうしたって出来ないんだ」
「なんだいきなり禅問答か」
宝良花巻は肩をすくめた。
「わたしはあなたが抱えている事情を何ひとつ知らないからな。助言も抽象的にならざるを得ない。それでも、悩みの種別の、大まかな傾向くらいは見える」
ガキが、何生意気なことを言ってんだ。鯛良が防御のために思いついた言葉がそれだった。だが口にはしなかった。宝良花巻は彼にとって必要なことを言おうとしている。そして鯛良は、必ずしも腹立たしくは思っていない自分にも気づいていた。
「なあ……宝良。つまりお前はこう言いたいのか? どうしたって無理なものは、仕方がない、と」
「そう。それが、本当に、逆立ちしてもどうしても無理なものならな。出来ることを出来ないと決め付けるのは愚かだが、出来ないことの、その出来なさが明白に見えているのにいつまでも煩悶に耽り続けるのは、毒にしかならない」
「だが、出来ないじゃ許されないこともある」
「ならわたしが許そう。告白は要らない。何も知らないからすべてを許せるよ。溝漬のようになれとは言わない。想いは記憶に根を張るものだ。失意も罪悪感も剪定するように切れるものではない。だから、考え方を変えるのだ。癒えない傷は傷のまま、前に進むのだ。焼け野原に鉄柱を立てるように。腐った土に種を撒くように」
鯛良は驚いた。宝良の言葉のひとつひとつが、彼の心を魔法のように軽くしていく。ふと思う。
(こいつこそが……適任なんじゃないのか?)
精神性は抜群だ。子供とは思えない完成度。円熟、老成していると言ってもいい。だがその案の欠陥にはすぐに気づいた。宝良の制御力ではこの剣を使いこなせないだろう。彼女は一回戦で敗退している。
「寝る。ではまた、鯛良先生」
(教師の方こそが教え子から学ぶものだ、とは言うが……)
こんな直接的な意味ではなかっただろう。
ふと生徒たちの中に、鯛良は金髪の少女を見つけた。
アリス・シンガブロッダ。
天才である。異常値ぞろいの緋森高校の中においてさえ、彼女は「密かに際立っている」。いつかは剣を極めた使い手になるだろう。よどみ教師が目をつけるのも尤もだ。この剣の性質を考えれば、彼女ほど上手に役を果たせる者もいないと思える。だが、幼い。脆いと言ってもいい。突出した能力に裏打ちされたガラスの自意識。彼女にすべての罪を託すことが出来るか? この剣を持たせたならば、彼女は問題を完全に割り切って合理化するか、理想との差異に苛まれ続けるかの極端な二択に陥ってしまいそうに思える。
もっとも希望の兆しはある。この一連の戦闘を通して、彼女は自分を知りつつあるようだ。
弓野理解子。
たゆみ教師のお気に入りだ。実際、性格や思考の傾向がたゆみ教師に似ているところがある。おそらく彼女は違う世界に生きている。鯛良が抱えている問題も、彼女にかかれば全く別の性質を持ったものに変貌するだろう。それが良いことなのか悪いことなのかは予想できない。宇宙人に頼みごとをするようなものだ。
結論としては「なんとなく不吉」。ババ抜きの二択で、外れを引く確率が「心から」半分しかないと信じられるか?
死技野姑獲女。
死んでいる。
戦闘力は申し分ない。人格の厚みもなかなかのものだ。信仰のある人間は、それがある限り自分を強く保つことが出来る。はずだ。多分。おそらく。ただ時おり何かに怯えているように見える節がある。気のせいなのか、本当に何か恐れているものがあるのか、それともただふざけているだけなのか。しかしそれらも含めた上で、彼女は確固としたアイデンティティというか世界観を持っているようだ。4人の中で、一番バランスが良さそうなのがなんと彼女なのである。
だが死んでいるという問題がある。
まあ死んでいるなりに頑張って欲しい。
第四回戦進出者は「3-2変動」を行います。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
第四回戦の対戦組み合わせは以下です。
第四回戦より後は以下の要領で進行します。
これまでと同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
今回は試合の処理と結果を、HTMLのページで掲載します。基本はGMが機械的に処理した結果を記載しますが、各プレイヤーはそこに織り交ぜる演舞の指示を送ることが出来ます。たとえば以下のような感じです。
演舞指示はキャラクターと一緒に送ってもらいます。つまり試合結果を知るより前に指示してもらうことになります。試合展開をうまく予想して、すてきな演舞をひねり出してくださいね。GMは言われた通りに演舞を入れるだけですが、噛み合わないところがあったらある程度の辻褄あわせはしようと思っています。
演舞指示テキストのファイルサイズは10KB以内でお願いします。
カットイン画像はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは合計250KB以内、でお願いします。
一ノ瀬屠殺彦はお前、ちゃんと期限前に耳を揃えて全部送ってくるようお願い申し上げます。
郁良と理解子は画面左にいて右向き、アリスと姑獲女は画面右にいて左向き、と想定したら、カットイン画像が交互に入ったときにかっこよくパタパタするかも知れません。気にしなくてもいいです。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
2010/05/08(土) 24:00
試合と同期して公開していきます。
ご応募ありがとうございました。
敗者はもう試合がありませんが、設定上は生きています。
それぞれの頭の中にあるキャラクターや舞台のイメージを共有できたら楽しいと思うので、サイドテキストを募集します。想定している内容は、キャラクターにまつわる小話や設定、他キャラクターとの絡みなどです。
ファイルのサイズや形式の制約は演舞テキストと同じです。なので厳密にはテキストとは限りませんね。個人的には漫画が好きです。
マーガレッド・ハンドレッドやそのサイドイベントの参加者なら、これまでの勝敗に関係なく提出可能です。
特に、既にみなさんの自サイトやblogやpixivなどで公開されているテキストや漫画などのURLを一度集積したいという意図もあります。もちろん義務ではありませんが、積極的に隠蔽したいのでなければご協力いただけると嬉しいです。
送付数に制約はありませんが、複数の作品がある場合はそれらへのリンクがまとまっているページへのURLを送ってもらえると大変助かります。
締め切りは2010/04/11(日) 24:00とします。
受け取った順に逐次公開していく予定です。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
「くれぐれも大切に使ってくださいね。11点を12点にするために、前回よりも多大なリソースを消耗しているんですから」
8人の勝利者はたゆみ教師から押印を受けた。
本日の催しが終わって続きは明日さあ解散という段になり、生徒たちは違和感に気づく。
(風……?)
屋内であるはずの演舞場を微風が通り抜けている。
空調の効果でないことはすぐに知れた。なぜならその風には黄砂が混じっていたからだ。
「あー、そう言や忘れてた。今日来ることになってたんだよ」
鯛良がぼりぼりと頭を掻く。
「お前らの新しいお友達。そう――転校生だ」
……――転校生!?
第二回戦の勝利と敗北も一瞬忘れて、クラスメートたちが騒然となる。
「修学旅行の最中に? 転校生?」
「なるほど転校生が来るなら黄砂混じりの風ぐらい吹くだろうけど……けど、そもそもなぜ転校生がこのタイミングで?」
「女子か? オレのことが好きなのか?」
「転校生とは、一体……?」
そのとき演舞場のドアが、左右に勢いよく開いた。
開け放たれた入り口に、一人の生徒が姿を現す。
転校生だ。
「おう、そいつだ。仲良くしてやれよな」
その女子――クラスメートの何割かの期待通りに女子だった――はこちらに歩いてくる。
口元には薄い笑みが浮かんでいる。
乾いた風がドアとは無関係な方向から吹いて、髪が、スカートがたなびいた。
ぽかんと口を開けるクラスメートたち。
彼女は悠然と前に立ち、ゆっくりとした口調で自己紹介をする。
「みなさんはじめまして。本日、緋森高校に転校することになりました――細川弑奈です」
果たして何者か……細川弑奈。
第三回戦進出者は「2-1変動」を行います。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
第三回戦の対戦組み合わせは以下です。
第三回戦より後は以下の要領で進行します。
これまでと同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
今回は演舞テキストは処理結果と相手のフレーバーを見た後に書いてもらいます。書かなくてもいいです。
演舞を書く場合は、キャラクター応募時のメールで「演舞上等」と明記しておいてください。
演舞テキストのファイルサイズは10KB以内でお願いします。
自サイトやblog内のページのURL形式での提出も可とします。この場合はファイルのサイズや形式は問われません。
締め切った後、勝利者が「演舞上等」でなければ演舞なしの処理結果をそのまま公開します。
勝利者が「演舞上等」であれば、GMはキャラクターと処理結果を、2010/04/20(火) 24:00までに双方のオーナーに返送します。各オーナーは処理結果が正しいことを確認してください。
また、処理結果が公開されるまでは各オーナーは勝敗について口外しないようお願いします。
締め切りまでに演舞テキストが送付されれば、それを処理結果として公開します。送付されないか演舞キャンセルの通知があれば、演舞なしの処理結果を公開します。
負けても演舞を送ることが出来ます。締め切りやサイズ制限は勝ち演舞のものと同じです。
負け演舞が勝ち演舞よりも先に送られた場合、勝ち演舞の公開を待ちます。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
1.6.7に更新しました。
第二回戦では、16名のうち8名が次戦に勝ち進めます。
手で処理しています。何かミスがあればご指摘お願いします。
試合と同期して公開していきます。
1.6.6に更新しました。
1.6.5に更新しました。
美化委員。
緋森高校のタブー。
その名を聞いて掃除用具の点検や美化コンクールへの応募を想像する者は緋森にはいない。
美化委員の仕事は掃除だ。殺傷力に特化した剣を振って掃除するものは何か? まさか床のゴミや埃では有り得ない。
彼らに言わせれば「塵あくたは際限なくそこら中で沸いていくら始末してもし足りない」。生活環境向上の謳い文句を盾に、化学教師・利根川よどみはこの組織の武力化を五年前から密かに進行していた。彼女の暗躍により、美化委員に属する生徒はたとえ学内の生徒や教師を斬り捨てても、≪血風始末書≫の提出だけでその咎を免れられるまでに至っている。さらに戦闘祭や賭博祭でも「生徒主導の行事で校下組織である風紀委員にその役を押し付け義務付けるは不当」として、その治安監督の志願生徒を多数送り込んだ。
利根川よどみの風評は絶えない。
彼女について正面切って尋ねれば教師たちは皆口をつぐむ。教員会議の反対を押し切って血風始末制度を通すために、よどみ教師が教頭を始めとする複数人の男性教諭を篭絡したという噂。一説に彼女は緋森を潰すためのエージェントであり、クーデターのための勢力を現地調達しようとしているのではないかとも言われている。彼女らの根城である、煙草とスプレーで汚れきった廃屋のような美化室は何を意味するか。彼女の暗い表情から富裕層へのルサンチマンを読み取る人間も少なくない。
修学旅行に来ている二年生にも当然美化委員の在籍者はいるし、利根川よどみ本人も同伴している。聖域設備の点検と清掃のためにと称しつつ、その不穏な動きを隠そうともしない。
彼女らに与えられた権限は果たして妥当なサイズであると言えるだろうか? 再評価が待たれる。
一方。
文化祭事変で美化委員に暗殺されかかった過去がある数学教師・利根川たゆみも、よどみ教師らについては他教師と同じく沈黙を守っている。委員の動きを目で追うこともせず、いつも通りに淡く微笑んでいる。
「第一回戦でも勝ち残ったつわものの皆さんには、お待ちかねのご褒美をあげますよ。さあさ、雨城さんから順番に整列! おでこ出して!」
たゆみ教師は、並んだ生徒たちの額にマトリョックス印の真っ赤なスタンプをホイホイと押していった。間違いなく楽しんでいる。
「あら、これはどうやって押そうかしら」「悪ィな。これでいいか? ビシッとキメてくれ」 自分のトサカヘアーを両手で縦に裂いたのは死技野だ。さすがに潔い。
勝ち残ったあなたは、たゆみ教師おふざけ交じりの途心1点を得た。スタンプは消しても残してもいい。さらに明日の試合までの間に、1点分のリリースバックもできる。
第二回戦進出者は「2-1変動」を行います。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
第二回戦の対戦組み合わせは以下です。
これ以降は並びを維持してトーナメントを進めます。
第二回戦より後は以下の要領で進行します。
これまでと同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
今回は演舞テキストの募集はありません。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
2010/03/20(土) 23:23
第一回戦では、32名のうち16名が次戦に勝ち進めます。
手で処理しています。何かミスがあればご指摘お願いします。
試合と同期して公開していきます。
1.6.4に更新しました。
勝っても負けても修学旅行は続く。生徒たちは共同生活を思い思いに送る。
第一回戦の対戦組み合わせはプリントで通知された。
名前の載った生徒は敗者から羨まれながら、翌日の戦闘に備えて意識を練り直す。
リリースバック。力の抽象化。すでに現実化されている構成を、途心へと還元すること。
訓練を受けた彼ら彼女らは、一点の途心をたった一日でリリースバックできた。
第一回戦進出者は「1-1変動」を行います。
「A-B変動」とは「A点の強化とB点の弱体化」のことです。剣の並び替えもできます。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
第一回戦の対戦組み合わせは以下です。
これ以降は並びを維持してトーナメントを進めます。
第一回戦と同じくマーガレット専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
名前や設定や絵の変更は自由です。
絵の形式はJPEGかGIFかPNG、ファイルサイズは50KB以内でお願いします。
絵の添付が無い場合は絵無しになります。前と変わらない場合も再送してください。
演舞テキストはあなたが書く戦闘描写です。第一回戦キャラと一緒に送って頂くことが出来ます。
戦闘に勝利するとそのテキストが処理テキストになります。
戦津に敗北するとそのテキストは日の目を見ません。(ご自分で公開するのはもちろん自由です。)
相手の構成やフレーバーによっては辻褄が合わないこともありましょうが、そこはGMが適当に対応します。
演舞テキストの送付は必須ではありません。送らなかった場合の挙動は不定です。
演舞テキストのファイルサイズは10KB以内でお願いします。
すてきな演舞をお待ちしています。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
HTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合、演舞テキストを書いた場合も同メールに添付してください。
2010/02/27(土) 23:23
第零回戦では、55名のうち23名が脱落して32名が次戦に勝ち進めます。
負け抜け戦をランダムに23回行います。
手で処理しています。何かミスがあればご指摘お願いします。
負け抜け戦なしの次戦進出者は以下です。
第一回戦の対戦相手の組み合わせはシャッフルして決めます。(それ以降はシャッフルしません。)
1.6.2に更新しました。
1.6.3に更新しました。
1.6.1に更新しました。
投稿は全部で55名でした。投稿後の修正を含めたデータの確定順に掲載しています。
負け抜け戦は23戦実施します。少々お待ちください。
(二年一組担任・鯛良の覚え書き)
入巣卓哉。素行も言葉遣いも悪い。人なつっこく話す好印象はあるが、単に教師の前で調子がいいだけだろう。クラスではどうだろうか? 戦闘ではすぐれた反射神経を見せる。
霧雨乱。変人。常識に囚われない発想力があり、敵の虚を突いて呼吸を乱し、実力を発揮させない奇策を好む。その方向に伸ばせば格上の相手と渡り合える人材になるかも知れない。
意海円子。病弱だが性格は明るい。手慣れた魔法封じがビルドバブルの現代で頼もしい。攻撃が飛来しても緊張無くかわす。校内治安にも一役買っておりこちらとしては大助かりだ。
弓野理解子。素行は良いし友人関係も問題ないようだが授業中の態度が不可解。こちらの話に異常に集中してると思ったら突然顔を伏せる。笑っているのか? 俺の格好が変なのかと不安にさせられる。
文鎮。奇人。芸術家の素養があるのだろうか、言動が芝居がかっていると言うか狂言じみてると言うか。内心でセンシティヴな爆発を繰り返してるかも知れない。こういう手合いは気まぐれで突発死する。注意しても無駄。早く卒業しろ。
溝漬郁良。いわくつき。一人殺してる。胎胎剣への執着が妊娠疑惑を呼んでいる。懇談会で突っ込んでみろと教頭に言われたが気が進まない。命にまつわるトラブル。死神の逆位置が出たらたぶんこいつだ。
百草灯。不良。ひょろい体で曲芸みたいに剣を回して相手の鏡像を作る。見えるところで煙草を吸うなと言うのに聞かない。注意せんといかん手前、目が合うと「見つかった!」と俺の方が思う。
長ラン。そう呼ぶ。入巣や金剛とは違う今時分硬派な不良だ。普段は物静かだが、戦闘となるととにかく声がでかい。相手はそれにビビる。ブラフの素養があるものの、口下手すぎるのが惜しい。
神科戯華。内向的。手のかからない稀有な生徒。意海と同じく頼みごとがしやすい。ぼっとして話を聞いてないこともあるが、許容範囲内だ。自分の世界に夢中なんだろう。
岸堀湯画。御大の秘蔵っ子。問題児の巣にそんなVIP放り込みやがって。ただ本人自体には(学力はともかく)問題はないしこの境遇も哀れではある。俺にしては珍しく、ほっとくのに気が咎める。
阿波野酔。こーゆー馬鹿がいてくれるとホント安心するよなー! そうだよ俺は生徒に気兼ねなく馬鹿って言いたいんだよ。馬鹿でいてくれてありがとう。
木俣有。頭はいいんだけどな。鼻にもかけないし。いやそれがまずい。逆に不吉だ。高度に病んでるやつは起こす問題もでかいんだよ。誰か矯正してやってくれ。俺には無理だ。
コヨミ。兎耳人種。目が赤い。ガキなので飴をやると喜ぶ。派手な魔法を好むんで危なっかしいが、きちんと躾ければ制御は利く。人好かれするからまあ幸せにはなれるだろう。
苦累坂叫介。取っ手がついてる。だが性格の方は掴み所が無く、普通に会話してるつもりがいつの間にか話を明後日の方向に逸らされている。素行は悪くないようだ。
七天八刀。どうしても顔が思い出せない。なんだ? 成績は可もなく不可もなし。特に何も無い。いや? ああ。やめよう、考えるのは。
末軌由卯。このくらいはね、面倒くさいうちに入んないんだよ。暴れる訳じゃないんだから、ちょっとくらいぐちぐち喋ってても全部聞いてやりゃいいんだ。そのうち一人で納得するから。
えぬえむ。転校生。いつもあちこちせわしなく歩いてる。友達が多いんだろうか。その割には独り言も多い。両手で振り回されるように剣を持つ。雛鳥みたいなヤツ。
金剛優志。いない。レア。サボスケ。たまに教室にいると女子にキャーキャー言われてんだよな。戦闘中も煙草吸ってる。寝てる時も。
倉石スー。比較的ノーマル。問題点というほどの問題点は無いが、万事において力みすぎており吸収が悪い。体育や戦闘でも動きが硬いと報告を受けている。本人なりのビジョンがあるらしいので放任が妥当か。
JuN。外人。留学生。礼儀正しく学業も上々、変態クラスの中にあって劇的に素行が良い。能力も全般的に高く安定しており、たぶん学校は全員がこういう生徒であることを想定してるのだと思う。
一般男子生徒。特に何も無い。
糸縫寒太。戦闘推薦。笑わないガキ。学業は粛々とこなす。ロボットみたいだけどやっぱりガキに見えるから飴とかあげてみる。返される。太刀筋はやたらと攻撃的で無慈悲。
習志野瀬子。測定に現われない才能を抱えているタイプ。剣を行使する際の余波形状を見るに、優れた無意識を備えているのが伺える。まだ不安定だが、全対応者の想定を裏切る奇手にはうってつけかも知れない。話すとペースを崩される。
柿野ゆりか。文芸部員だが身のこなしは良い。彼女らのような学内に複数ある武装勢力の小競り合いは、戦闘経験の益があるということで黙認されている。ただし意海のような事態収集役は不可欠。
ラ坂南綾。直情型の爆砕型。論理的説得には応じるが背後にある激情は隠せない。しかし強敵にも物怖じしない資質とも見れる。タフなのはいいが、臥竜剣で途心を節約する思慮深さは欲しかった。
七篠絆葉。素行、成績、ともに良く、素晴らしい手のかからなさを誇る生徒。やや内向気味だが、心配するほどのことでもあるまい。至って普通。木。
カサンドラカシム。無駄な儀式剣にダメージのない振動高速。剣の使い方を理解できていないと見える。劣等生。九九が言えるかも怪しい。俺のせいではない。入学時にはもう手遅れだった。
桂浜治郎。やや活動性に欠けるが、高校生とは思えない落ち着きと腹の据わりようがある。地味に優秀。必要以外の行動を取らないのはともすれば単なる怠惰にも見えるが、無駄がないということでもある。
蘇芳いる。協調性皆無の問題児。よせばいいのにクラスメートに毒ばかり吐いて孤立。俺が話してるときも目を伏せてYES一点張りの反抗的無気力を振りかざす。それだけなので放置しても問題ない気はする。
片平カリナ。性格に難あり。話すとドギツい罵声をばんばん浴びせてくる。手に負えないので利根川先生に泣き入れて対処してもらう。俺の小遣いが減る。金返せ。
ミドリ。こいつの声、ぼそぼそして聞こえないんだよな。何度聞き返してもだめで、耳元で言わせてようやく捉えた言葉が「プリントに誤字ありました」。そうですか。
ひばり。なんなんだろうなこいつは。暗いっていうよりは落ち着いた感じで黙ってると思ったら、ここに来て突然豹変して饒舌になった。イメチェンだろうか。無理し過ぎないといいが。
マケニピシエ。健康そのもの。成績も良いようだし特に心配なことはない。トータルバランスも良いようだし、このままの調子で行ってくれればと思う。あと字がきれい。
しょうちゃん。ゴミ。ゴミ部のゴミがゴミを結集して作り上げたゴミ。悪ふざけもたいがいにしろよな、ゴミ共が。スキンシップを求めてきたら容赦なく一撃を叩き込む。こいつにだけは体罰振るっても問題になる気がしない。
紅林明夫。しつこく続けるボケは突っ込んでもあげずしつこさも指摘しないのが正解。どちらにせよ執拗に繰り返してくるだけだから。太刀筋は古風な二閃高速。これは誉められる。
Ефим Ильич Миклин。人呼んで≪読めない≫。おいヨメナイってしつこく呼び続けたら遂に振り向くようになった。かーわいいよなあこいつ。こいつが胎胎剣を使うと「出たー! 読めないの軽やかな残響剣だー!」と声が上がる。ほんとかわいいなあ。今度飴あげてみよう。
空山海。ジョットを海に連れてくとだいたいこんな感じになるんだよな。おおはしゃぎで砂浜走って海に突っ込んでを繰り返す。よく疲れないもんだよな。話すと唾が飛んでくる。
アリス=シンガブロッダ。顔見て笑った。なんだよウィリアム・ブーグローかよ。器用に二体ビルドをこなす才女。成績もいいし、こういう全部持ってる奴ってのはどんな気分なんだろうな。
死技野姑獲女。カシュラム出身。見ての通りのツッパリ女。意外に詩才があるみたいだが全力で間違った方向に投入している。昨日「オフェンシヴカシュラムについて」って資料を校長から渡された。未読。
加賀峰。三面鏡。話しかけると露骨に嫌そうな素振りで一歩引く。今更傷つきもしないけど、対処法が分かられんで困る。素行は悪くないみたいだから話しかける機会が少ないのはこちらとしても助かる。
十津川秀子。こいつがまた女子からもててな。ようバスケ部、って素で呼びそうになる。バスケ部じゃないんだよな。体がでかくて力はあるみたいだが、反射はあまりよくないようだ。なんでだよ。
美登理。みどり2。万感の思いを押し殺してひきつる表情が痛々しい。こいつも感情表現がへったくそでハラハラするよ。ただ図抜けた反射はかなり目立つ。黙黙残星もここまで来ると超能力の域か。
遠里小野おりの。安定型。成績、運動、素行、共に悪くない。家庭環境にも問題はない。だが戦闘には不向きな性格だが、教えれば大抵のことはこなす。この年頃にしては自意識の澱も薄く好感が持てる。
カルキ。文鎮に通じる訳の分からなさがある。情緒不安定。保健室に連れてく途中でこの世の理不尽について淡々と説かれた。一教師にそんな重たい話振らないでくれよ。
飛和見紫子。ネガティヴ。でもしんどいことをしんどいってストレートに表現できるだけマシか。いちいち被害妄想を訂正するのも一苦労だけど。腕は細いが力はある。だが華奢。自壊しそうだよな。
天王洲あいる。出来ればそのまま逮捕してもらっといた方が良かった手合い。どうしようもなく馬鹿げた思想の持ち主だが、それを人前で訥々と喋ってるうちは挙動が目に見える分御しやすくはある。
木田峰しだき。一通り安定して悪い。当然素行も悪いが影響力も破壊力も悪い分無害。尾蘭剣の選択は馬鹿にしてるのかとも思ったが本気らしい。適当に励ます。
櫻井椿。三年。去年修学旅行に参加できなかったので振り替え参加。2-1の生徒とも多少は知り合いがいて孤立はしていないようだ。やる気がないようなことを口では言ってるが剣は攻撃的にして陰湿。
星水アリス。馬鹿満開。ほとんど何も言ってないようなもんだから言葉を聞く必要は無い。そのうち電柱か何かに頭をぶつけて死ぬはず。それまでは静観。
火山強。貧弱な肉体とは裏腹に強靭な意志力を持つ。いつも何か遠くを見ているような雰囲気があり、紡ぐ言葉も理解を超える。つまり人の話を聞かず、何言ってるのかも分からない。
二階堂武竹。「すみません遅刻しましたー」「「ドッ」」朝の定例のお笑い役。こいつが遅刻している限りは万事うまくいくし地球も正常に回転する。
有坂。睨んでくる。般若も顔負けの凄絶な表情でねめつけてきて、見られ死しそうになる。前世でなんかあったんだろうな。内心に抱えているであろうドス黒の怨念も、凶行に及ぶほどのものではなかろう、と思いたい。
宝良花巻。構成は加熱斬撃か。古文書でも引っ張ってきたのか? いいセンスしてるよ。こいつと話すといつの間にか俺はぐちってて、話が終わる頃にはせいせいしてるんだよな。聞き上手か。
鹿毛老。思わず口を手で覆っちまう。かっこいいよお前。年下だけど関係ない、友達になりたかったな、こいつとは。
初仁白。星水とか火山も相当だけどこいつも屈指の何言ってるか分からなさを誇る。厄介なのは、適当に相槌を打ってもそこは見抜いて涙目になるところだ。けど、だって分からないし。
締め切ったらすぐキャラクター公開できるかも。投稿者は凡ミスにご注意。
2010/01/21 24:00までに届いた投稿にはすべて返信しました。返信がない場合、疎通事故が起こっている可能性があります。お手数ですがご確認願います。
1.6.0に更新しました。
1.5.5に更新しました。
制服指定で紛らわしくしてしまいましたが、絵の添付は必須ではないです。あくまで推奨。
これまでの説明だけでニュアンスは簡単に伝わるだろうな、と思ってたんです。あとTCGやマーガレットみたいな荒唐無稽なキャラクターを許容する世界観自体がゲームの舞台としては特殊で、「(こう、漫画とかでよくある感じの)高校生のみ」という縛りも参加者的に大してきつくはなかろう、とたかを括っていました。実際はどうなんでしょうね。どのくらいの人がどのくらいの抵抗を覚えてるか見当もつきません。が、まあ、今回はこのままいきます。多くの人が大して抵抗を感じてなければいいなと無力に祈ります。
フレーバー制限が目障りだったらすみません。
データが膨大なのはもう仕様です。ついていかれんかったらすみません。
バランスはよく分かりません。ビルドが強いみたいなので黙祷剣のMP回復量は2くらいに抑えたりとか何かしらの対策を打った方がいいんじゃないかとは思いますが、正直、この匙加減ひとつで地殻変動が起きかねない状況で、変更の影響度を十分に吟味できそうにありません。今回はおおむねこのままで行こうかと思っています。
1.5.4に更新しました。
1.5.3に更新しました。
1.5.1に更新しました。
1.5.2に更新しました。
1.5.0に更新しました。
1.4.4に更新しました。
1.4.5に更新しました。
1.4.2に更新しました。
最新版のルールのみを置き、古いバージョンは上書きするようにしました。
1.4.3に更新しました。
緋森高等学校は生徒に制服着用を義務づけています。制服のデザインは自由ですが高校生らしいものであることと、上記の図案を何らかの形でデザインに含めることが必須となっています。簡単なのはワッペンとして肩などにつけることでしょう。これらの規定はゲームの募集要項としての義務ではありません。が、不良であるなどの事情が無いならなるべく協力して欲しいです。多少着崩すくらいなら不良でなくてもするだろうとは思います。
(THEKIさん画)
こんなような工夫でもいいです。
繰り返しますが高校生です。必ずしも現実的な人物である必要はありませんが、高校生っぽくないのは不可です。要はファンタジー要素可の学園ものです。ライトノベルや漫画っぽく霧や霞が意思と高校生の姿を獲得した存在みたいなのまでは許容範囲内ですが、高校生と書かれた文鎮を投げつけられても受け取りません。却下します。許容範囲のボーダー間際を攻めるような遊びもやめてください。
あと、絵の添付忘れやキャラクターデータの書き忘れなどにはくれぐれもご注意ください。
1.4.1に更新しました。
1.4.0に更新しました。
締め切りの日にちが間違っていたので修正しました。「2010/01/19(土) 24:00」⇒「2010/01/23(土) 24:00」
1.3.0に更新しました。
1.1.0に更新しました。
1.1.1に更新しました。
1.2.0に更新しました。
更新履歴は最後のところに記載しています。
「それは剣です」
剣。人間が手にできるすべての力。それは比喩ではない。力を剣に封じ込める発明が、人類の文明を大きく推進させてきたのだ。
どれほどの昔に始まったのだろうか。伝承では、鉄などの金属に斬撃を宿らせた上で取っ手をつけたのが剣の起源であったとされている。そしてそれだけに過ぎなかった剣の価値も、二つのパラダイムシフトが大きく高めた。「途心」および「オーロラメモリー」だ。
途心は肉体性能の強化と剣の具現化を実現するエネルギーだ。途心そのものに物理的実体はないが、訓練すれば誰でもその多寡を数値として知覚することが出来る。その構成速度には多少の個人差があるが、人間は自分に内在している途心を自由に用いて、自らを剣師化することが出来る。あなたたちは学校で、その途心の制御を叩き込まれてきた。今や男女差とは無関係に、あなたたちの全員が強力な戦闘力を有している。
そしてオーロラメモリー。人間の脳にはたった一種でも収まりきることがない、剣の情報「イデア」が記録されたストレージ。あなたたちは自分の頭脳から直接このストレージにアクセスしてイデアをダウンロードし、途心によって物質化することが出来る。かつてはたった1種だった剣も探求者たちによって次々と有用なものが発見され、大災害時代までに15種になり、現在では100種にまで増えている。オーロラメモリーの容量は限界まで圧迫されており、これ以上増やすには他の何かを削らなければならない。
「みなさん見てください。これが途心です」
利根川はあなたたちの方に向かって手のひらを差し出した。その手には何もない。が、あなたたちには分かる。そこにはそれがある。理性によってのみ認識できる、しかし確かな実在だった。
「先ほど説明さしあげた通り、みなさんの親御さんたちが築いた勝利と繁栄を守るために、みなさん自身が強くなっておく必要があります。みなさんには既に一人ずつ持っている10点の他に、この剰余途心を配分いたします。ただし平等ではありません。途心の扱いに長けた者に、より多くの途心を与えます。みなさんの全体力を高めるためです。そして途心の制御力の優劣を計測するために、みなさんには互いに戦って頂くことになりました。トーナメント形式で勝者を絞りながら、勝つごとに途心を与えます。そして最も強い者は最も多くの途心を獲得し、クラスを代表する指導者になって頂きます」
最後に利根川は付け加えた。
「負けた生徒は死にますがすぐに生き返ります。聖域の設備は便利ですね。多少のコストはかかりますが、みなさんの人数分くらいなら大丈夫です。勝っても負けても恨みっこなしで、仲良く修学旅行生活を送ってくださいね。初回の戦闘は明日なので、個室に荷物を置いたら構成を各自で考えておいてくださいね。それでは失礼します」
利根川は一礼して演壇を降りた。
あなたはこれから剣師となり、クラスメートと戦うのだ。
キャラクターを作成して対戦させるメール応募型のゲームイベントです。
手動ゲームマーガレットのルールを拡張したものです。
略記は「m100」です。
参加する場合はマーガレット・ハンドレッドのルールを読んで剣師を作成してください。
途心(ボーナス点)は10点です。
期限内にメールで応募し、相手の剣師を倒せば次戦に勝ち進めます。
今回募集するキャラクターは緋森高等学校二年一組の生徒です。キャラクター作成時に考慮してください。
緋森高等学校はストーリー-3〜0で示したこと以外よく分からない学校ですが、細部は適当に想像して補ってください。
とんちを利かせておおよそ高校生には見えないキャラクターを作ることも可能でしょうが、そういう遊びではありません。ファンタジー的な現象により何かが高校生になったものを送ってくるのはいいですが、仏像とかうどんとか数式とかをそのまま送ってくるのはダメです。このニュアンスを分かってください。
投稿されたキャラクターは、何らかのことで二次流用される場合があります。ご了承ください。
どうしてもそれはNGという方、また版権上の微妙な問題があるキャラクターを投稿する方は、キャラクター投稿時に付記お願いします。
版権上の強烈な問題があるキャラクターは投稿しないでください。
マーガレット・ハンドレッド専用キャラクターフォーマットに従って書いてください。
英数字は半角でお願いします。
設定をつけることを強く推奨します。
イラストも添付することを強く推奨します。へたでも、絵があった方が楽しいと思います。
絵の形式はJPEGかGIFかPNGでお願いします。サイズは制限は特にありません。
ひとり1キャラでお願いします。
(削除済)
メールのサブジェクト(=タイトル)には必ず「【m100】」と墨カッコ付きで書いてください。
可能ならHTML形式ではなくテキスト形式で送ってもらえると助かります。
イラストを描いた場合も同メールに添付してください。
2010/01/23(土) 24:00
ご意見、ご要望、アドバイス、質問、突っ込みなどがあれば当サイトの掲示板にどうぞ。
本ゲームは、Nivさんという人が2007年末に主催したTournamented Celestial Gaze(星見の塔トーナメント)の影響を大きく受けています。
「いや知ってるよ!」
見慣れた数学教師のずれた自己紹介に、すかさず生徒から突っ込みが入る。
あなたたちの何人かは「さて。殺し合いを始めようか」「いやマネーゲームだろ利根川が演壇に立つなら」「なんでもいいけど俺が勝つよ。主人公補正かかるし」「ほんとお前って恥ずかしい人生送ってるよな」などと状況を茶化してざわついている。
「さて私から、この修学旅行生活と並行してみなさんに参加していただきたいイベントについて説明いたしますね」
利根川はよく通る声で滑らかに話す。
「ここは国の防衛費の一部を投じて地下に建造された、聖域と呼ばれる施設です。人間1000人を300年間養える設備と、核撃剣にも耐える強力な防御、それに異物の侵入を許さない優れたセキュリティを備えています。修学旅行の行き先として南国の海や歴史ある都ではなくこの施設が選ばれたのにははっきりとした理由があります。それは、将来我々に降りかかるかも知れない未曾有のカタストロフに備えて、ここでの生活を体験しておいてもらうためです。それに、ここはこの国で一番快適な場所でもあります。人間がこのような閉鎖空間でも安全かつ健やかに暮らしていけるように、お金をふんだんに使った設備が盛り込まれているんです」
生死に関わる話になって、あなたたちは自然と利根川の話に集中する。
「緋森高等学校の生徒はみな、入学希望者自身の能力またはご両親のコネクションまたはお金、もしくは何だかよく分からない謎の基準をパスした特別な子供です。その中でもあなたたち第三十二期生一組はまさにファーストクラス、現代の王子さま王女さまたち。未曾有の災害がこの国を襲ったときに、避難先としてこの聖域を利用できる一級の優先権を持っています。もちろんそんな恐ろしい事態は極力回避しなければなりませんが、過去に人類を脅かしてきた災害のいくつかは不可避なものでした。起こることを前提とした対策も必要であり、そのひとつがこの施設なのです」
ただし、と利根川は付け加えた。
「みなさんが特別扱いされるのは、永続的な幸福を保証された神の子供だから……とか、他の子供より優れた資質を備えているから……とかではありません。単なる人間社会における既得権益の継承者だからです。ここに来る途中のバスで、純粋独立地区の様子を見てきましたね? みなさんが普段何気なく享受している生活は、不帯剣民の方々を始めとする数多くの犠牲によって成り立っています」
演壇の教師はウスン、とひとつ咳をする。
「しかし不帯剣民の方々は生まれつきの劣等人種なのではありません。彼らもまたみなさんと同じ人間であり、しかもその人数に関してはみなさんよりも圧倒的に勝っています。従ってみなさんは自分の生活が状況の変化によっては容易く覆されるバランスの上に成り立っていることを肝に銘じ、みなさんの親の世代と同じように、あらゆる手段を講じてみなさんの祖先が築いた既得権益の防衛に成功し続ける必要があります」
利根川の口調は優しく、あなたたちへの心からの思いやりに満ちている。欺瞞はない。
「弱者に厳しい世界に適応するには、強くなる必要があるのです。さて現在の世界で、人間にとって最も現実的な強さとは何でしょうか?」
ホールに集められたあなたたちは仲良し同士で談笑している。
演壇に一人の女性が立った。
眼鏡をかけた彼女の顔が拡大されて背後のスクリーンに映る。
彼女は優しげな表情であなたたちを見回した。
マイクに向かって口を開く。
「みなさんこんにちは。わたしは利根川と申します」
あなたたちを乗せたバスは、あえて純粋独立地区の通過を避けなかった。
この社会を底辺で支えている貧民たちの実態を、あなたたちに見せるためだ。
長いトンネルを抜けた向こうに広がるのは、見て分かるほどに陰惨な現実だ。
汚れた水。破れた薄い服。蔓延する病。歪な肉体。乞食の女と抱きかかえられる赤子。
あなたは残酷な真実に顔をしかめるだろうか。
それとも自らが置かれている安全な境遇にほくそ笑むだろうか。
しかしいずれの態度についても、あなたたちの教師は警告を発している。
拒絶してはいけない。彼らはあなたたちの貴重な糧なのだから。
軽蔑してもいけない。彼らとあなたに根源的な優劣は無く、ただ立っている場所に風上か風下かの違いがあるだけなのだから。
現実を変えるにしても維持するにしても、始めにしなければならないのは、まずただ現実を見つめることだ。
それは、感情を切り離した客観的な分析ともまた少し違う。
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